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(左)社殿の前には狛犬ならぬ狛蛇が鎮座 (右)みのわ大通りから西側の崖下にある矢川弁財天と竜神池を写す
西国立駅から立川南通りに出て、「みのわ通り北」の交差点からみのわ通りを進んでいくと、右手に大きな池のある矢川弁財天が見えてくる。通りの脇にある階段を下りると、参道の入口に着いた。
矢川弁財天の創建年代等は不明だが、矢川のほとりに残されていた古い祠が元になっているといわれている。また「狛犬」ならぬ、珍しい「狛蛇」がいることでも知られている神社だ。
両脇にのぼり旗が立ち並ぶ参道を進んでいくと、鳥居の先には池を渡る「龍神橋」が架けられている。小さな橋だが、欄干の上では2匹の白蛇が這っていた。一見ギョッとしてしまうが、古くから蛇や龍は弁財天の化身とされているようだ。石垣に囲まれた池の中では色とりどりの鯉が優雅に泳いでおり、境内でもひときわ風情のある一角となっていた。
橋を渡ると、水がコンコンと湧き出す手水舎があり、その先にはとぐろを巻いた「狛蛇」が構えられていた。こちらもなかなかのインパクトがあるが、よく見ると、意外と穏やかな表情をした「狛蛇」様であった。その先には古めかしい社殿があり、その左手には立派なお堂、「三龍殿」が建っている。比較的新しいこのお堂の上部には、目が金色に光る細やかな龍の彫刻があった。また、お堂右手には、この荒地を開拓したという初代教主の石像が建っていた。
大きな池があるため、立ち入れる範囲はさほど広くはないが、多様な木々が伸びる境内はよく整備されており、なかなか心地のいい水辺のスポットとなっていた。
矢川の水源はこの弁財天付近とされている。弁財天の北側から開渠となって流れ出す矢川は、高架になっているみのわ通りの下を流れる人工河川・緑川と立体交差して、矢川緑地へ流れている。この高架道路の下がコンクリート壁になっているという奇妙な造りは、みのわ通りの下に緑川が埋まっているからなのだろう。
自然が豊かに保全された矢川緑地内では、多くのカルガモや、夕暮れ時にエサをついばむシラサギの姿を目にすることができた。このシラサギは日中、弁財天にも飛来してきていたので、このあたりを住処にしているのだろう。
(2024年11月掲載) 地図
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