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根川緑道の満開の桜(2020年3月撮影・立川市広報課提供)
多摩都市モノレールの柴崎体育館駅を降りると、駅のすぐ南側には小川に沿った遊歩道、根川緑道が東西に伸びている。今回はお花見の名所としても知られる緑道の下流部を紹介したい。
さらさらと流れる根川の流れに沿って遊歩道を進んでいく。道の途中には水辺にせり出した水上東屋や、子どもたちが喜びそうな親水広場などがあり、緑の中を心地よく散策できる。新奥多摩街道をくぐり、時折カワセミなどが飛来する大池を過ぎ、甲州街道をトンネルでくぐると、根川緑道の最下流部に着く。
このトンネルの上には、立派な展望広場のような一画が造られていた。広場の中央に設置されたプレートによると、かつてここには「葦見(よしみ)橋」という橋が架けられていたそうだ。葦見橋は大正15(1926)年に架けられた橋で、当時は辺り一面が葦に覆われていたという。プレートに刻まれたイラストを見ると、葦見橋はなかなか風情のあるアーチ橋だったようだ。なお、このトンネルも「よしみトンネル」と名付けられている。
野球場脇から伸びる遊歩道を進む。この辺りは両岸から根川に覆いかぶさるようにサクラの木が伸びている。根川緑道には上流部にも多くのサクラが植えられているが、この辺りが名所といわれるのも納得だ。対岸の遊歩道からは川辺に下りることができる。川辺に下りて、サクラの花に包まれながら春のひとときを過ごすのもいいだろう。「開花までもう少しかな…」と思ってサクラのつぼみを眺めていると、近隣の方が「お花見の時期には、ここはたくさんの人で賑わうのよ」と教えてくれた。
滑り台やブランコが置かれた小公園を過ぎると、サクラは片側のみになり、対岸の木々も少々野性味が増してくる。川面に目をやると小魚を探すサギやカモの姿があり、遊歩道沿いでは優雅に木の枝に止まるサギの姿があった。
根川緑道の終点には、根川貝殻坂橋が架けられている。この木造の橋は大変趣向を凝らした造りになっていて、橋の片側から入場ゲートのような塔がそびえ立っている。高い塔の上部や欄干部分は木製の格子になっていて、所々に貝の装飾も施されていた。独特の存在憾がある橋なので、終点まで足を伸ばすことをおすすめしたい。
(左)水あびを楽しむサギ (右)枝で休むサギ
(2024年4月掲載) 地図
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