小さな散歩道

アキシマクジラ出土地(昭島市宮沢町)


昭島市教育福祉総合センター・アキシマエンシスに展示されているアキシマクジラの原寸大のレプリカ(昭島市提供)


アキシマクジラの案内板

八高線列車衝突事故モニュメント

過去のくじら祭りパレード(昭島市提供)

 立川駅北口から奥多摩街道を通る 「拝島駅」「福生営業所」行きなどのバスに乗り、「谷下」で下車。街道に架かる八高線のガード手前の道を左に入ると、多摩川の河川敷を利用した多摩川緑地「くじら運動公園」の入口に着く。この運動公園の堤防上には、大きなアキシマクジラの案内板があった。

  アキシマクジラとは、1961年8月に八高線の多摩川鉄橋近くで、当時小学校の教諭であった田島政人さんと息子さんが発見した日本初のほぼ完全なクジラの全身化石だ。約200万年前の地層から発掘されているが、その当時は東京都の大半が海で、ここ昭島は陸に近い浅瀬だったのではないかと考えられている。
  その後、長年、調査や研究が進められ、2018年にこの化石はコククジラの新種で、何らかの理由で絶滅した種と認定され「エスクリクティウスアキシマエンシス」という学名が付いた。通称「アキシマクジラ」。案内板には、発掘場所の写真や地図なども掲載されていた。

  なお、案内板の手前には「八高線列車衝突事故」のモニュメントである2対の古びた車輪があった。この事故は1945年8月24日、八高線の多摩川鉄橋上で列車が正面衝突し、少なくとも105人が死亡という日本の鉄道史上でも有数の重大事故だった。後年、鉄橋近くで発見された2対の車輪が衝突車両のものと考えられ、事故を後世に伝えるために設置された。

 

 

 

 

(左)八高線多摩川鉄橋11番橋脚(右端)の下流約36m地点が発掘の中心だった

  多摩川を渡る八高線を眺めながら、化石の出土地へ向かう。多摩川鉄橋と駐車場の間に伸びる道を進んでいくと、川岸に下りる小道があった。この辺りが発掘場所のようだ。案内板によると、八高線多摩川鉄橋の11番橋脚の下流・約36メートル地点が発掘の中心だったという(橋脚番号は上流側の鉄橋に記されていた)。

  発掘当時、この辺りはコンクリート材として砂利が採取されていて、約200万年前の地層・砂岩層が露出している状態だったという。当時の写真を見ると、確かにボコボコとした柔らかそうな地層に見えた。現在は護岸工事などの影響で当時とは地形もいくらか異なっているようだが、足元には所々が隆起した柔らかな地層が広がっていた。

  なお、昭島市教育福祉総合センター・アキシマエンシスでは、エントランスにこのアキシマクジラ原寸大(13.5メートル)のレプリカを展示している。アキシマクジラの巨大さを体感しに行ってみるのもいいだろう。実物はアキシマエンス他、群馬県立自然史博物館に頭蓋が常設展示されている。

■50周年記念昭島市民くじら祭り

 8月26日(土)、27日(日)13時から昭和公園陸上競技場で開催
  ・26日・20:00〜夢花火打ち上げ(荒天時は27日に)
  ・27日・16:00〜パレード 昭島駅南口からくじら祭り会場に向かう(荒天中止)

(2023年8月掲載)  地図


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ