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(左)
甲州街道に面した谷保天満宮一の鳥居 (右)社殿
南武線の谷保駅で下車。駅近くの踏切を渡り、南に進んで行き甲州街道を渡ったところに谷保天満宮が鎮座している。谷保天満宮の創建は、延喜3(903)年。菅原道真(みちざね)の子息・道武が同年に死去した父を偲び、廟を建てて祀ったことに始まると伝えられている。また、谷保天満宮は東日本最古の天満宮であり、亀戸天神社、湯島天満宮と合わせて関東三大天神と呼ばれている。
鳥居をくぐり境内に入ると、崖下の拝殿に向かって長い参道が伸びている。参道の右側は雑木林になっていて、この鎮守の森にはケヤキやムクノキ、イチョウなどの木々が生い茂っている。参道から右手に伸びる道を入ると、稲荷神社の傍らでモミジが鮮やかにに色づいていた。
どこか憂いを含んだふたつの座牛
二の鳥居をくぐり階段を下ると、拝殿の入口手前には牛の像「座牛」があった。菅原道真は牛と縁が深かったと言われており、これは道真が死去した時の悲しみで動けなくなってしまった牛を表現したものであるという。そう言われてみると、この伏した牛の目は、どこかうつろであるように感じられる。なお、この「座牛」は拝殿手前にも1体あり、こちらは角が生えたリアルな造りの像となっていた。
緑に包まれた古めかしい拝殿は、嘉永4年(1851)に建築されたもの。学問の神様・菅原道真を祀る神社ということで、趣きある拝殿の前では高校生が熱心にお祈りをしていた。この季節は受験のお祈りに訪れる人が多い。境内には、合格祈願の絵馬がたくさん掛けられていた。
新年になると隙間なく希望校入学祈願の絵馬が並ぶ
以前は境内を闊歩していたニワトリたちの姿は見受けられなかった。どうやら、近年ニワトリたちは里親さんにもらわれていったのだそうだ。少し残念な気持ちもあるが、里親さんの下で幸せに暮らしていることを願いたい。
拝殿の裏手には厳島神社があり、その周りは弁天池になっている。池の中をのぞいてみると、澄んだ水の中で色とりどりの鯉が泳いでいた。
谷保天満宮は、梅の名所としても知られている。境内東側には約350本の梅林が広がっていて、見頃となる1月中旬から3月にかけては多くの人が訪れるそうだ。境内の散策を終えて、梅林奥にある東屋で一息つく。ふと西の空に目をやると、夕陽に照らされた富士山を見ることができた。
(2023年1月掲載) 地図
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