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坂下地蔵尊
立川駅北口から「拝島駅」、「拝島操車場」行きなどのバスに乗って、「拝島大師」で下車。バス停から少し西に進むと、「拝島大師前」の交差点の一角にお地蔵様が建っていた。こちらが坂下地蔵尊のようだ。
お地蔵様の周囲はコンクリートブロックで守られていていて、上部には「疫病退散祈願」と書かれた赤いのぼり旗が掲げられている。ブロックの中をのぞいてみると、穏やかな表情をしたお地蔵様の姿があった。
傍らの説明版によると、このお地蔵様は、八王子千人同心が日光に赴くために整備された宿場町「拝島宿」が成立してまもなくの天和2(1682)年から鎮座しているという。また、このお地蔵様が西を向いているのは、ここから少し西の上宿の大曲りに鎮座するお地蔵様と向き合い、一対となって拝島宿の東西から宿場を見守るためと伝えられているそうだ。街道沿いにたたずむ小さなお地蔵様だが、なかなか面白い由来があるものだ。
お地蔵様の足下には「建立三百三十年・奉納」と刻まれた香炉があり、きれいな花がお供えされていた。拝島宿を見守るために建立されたというお地蔵様だが、現在は交通量の多い街道の安全を見守ってくれているのだろう。
お地蔵様から左に進むと、立派な松が伸びており、その先の拝島公園内には大日堂の仁王門が構えている。都指定有形文化財である金剛力士立像を眺めながら門をくぐると、左手には大きな藤棚が広がっていた。これは、推定樹齢800年といわれる「拝島のフジ」で、都指定の天然記念物だ。藤棚の内部を見ると、大きなフジの根が地を這うように伸びていた。毎年開花時には見事な姿を見せてくれるそうなので、春に訪れてみるのもいいだろう。
その先には庭園風の池があり、飛び石の上ではカモたちがのんびりと羽を休めている。池の先の階段を上ると巨大な大日堂の本堂が鎮座していた。
この本堂は、屋根以外の大部分が鮮やかな朱色で彩られていて、一帯に強烈な存在感を放っている。また、柱や屋根に施された彫刻もなかなかきれいで、思わず見入ってしまうお堂だ。ふと視線を落とすと、本堂の手前では白梅の花が咲き始めていた。
(2022年3月掲載) 地図
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