小さな散歩道

昭和公園の蒸気機関車D51(昭島市東5‐11‐43)

 
(左)きれいに塗り替えられたD51  (右) 機関車本体(左)と炭水車。はしごを登ったところが運転席


運転席(左)と計器

運転席の窓

小動物園エリアでみられるクロツル

 東中神駅の南口を出て、江戸街道を渡ると、左手には野球場や陸上競技場を有する昭島市立昭和公園が見えてきた。駅から徒歩5分ほどの距離にあるこの広い公園は、昭島市民の憩いの場所として親しまれているスポットだ。

 5000人以上を収容できる野球場「ネッツ多摩昭島スタジアム」は、高校野球の予選(東東京・西東京大会)でも使用されている。この球場と総合スポーツセンターの間の道を進んでいくと、小動物園エリアの入口がある。色鮮やかなセキセイインコ、ヤクシカやクロヅル、インドクジャクが飼育されている。

 小動物園の先には、ピカピカに再塗装された蒸気機関車・D51(通称デゴイチ)―451号機が展示されている。
 この蒸気機関車は、1940(昭和15)年に製造されたもので、1970(昭和45)年に引退。その翌年に、昭島市が旧国鉄から貸与を受け、この公園内に展示した。公開当時はお披露目の式典が行われるなど、市民は大いに盛り上がった。
 しかし製造から80年、設置から50年、長年の風雨によって、サビや破損が目立つようになったため、昨年、市が改修費用の寄付をクラウドファンディングで呼びかけたところ、目標額(800万円)を大きく上回る金額(1100万円以上)が集まり、今年初頭より本格的に改修工事を実施。工事は無事に終了し、8月1日からリニューアルした蒸気機関車が公開されている。

  再塗装された機関車は、大きな車両が黒々と光っていて、近くで見ると大変な迫力がある。柵内に入り、階段を上って運転室(機関室)に入ると、中央上部には圧力計などの計器類が並び、運転席側には速度計やハンドルなど、様々な機器が並んでいた。
  蒸気機関車は電車と違い、機関士と機関助士の2人が協力して運転する。石炭を釜にくべる「投炭(とうたん)」が機関助士の仕事だ。機関士は進行方左の運転台にいるので、右カーブの時は前方確認がしにくい。その時は機関助士が前方確認をする場合がある。運転室は先頭車両の後方にあり窓も小さく、前方確認は大変と思えた。機関助士の投炭作業は過酷な労働環境だったろうと、当時の人々の苦労が偲ばれる。
 今その運転室には、子どもたちが駆け上ったりしながら無邪気に楽しんでいた。

■蒸気機関車の開放時間
8:30〜16:45(年末年始を除く)
※内部を見るときは密を防ぐため、3人以内の見学で。

(2021年10月掲載)  地図


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