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西国立駅で下車し、踏切を渡り立川南通りに出る。ここから南に伸びるみのわ通りを進んでいくと、「羽衣町三丁目」の交差点の左手にある、緑川第三公園に着いた。
長方形の公園内に入ると、入口近くには水道とトイレがあり、その先には立派な藤棚があった。この砂場の上に造られた藤棚はこんもりと茂っていて、ツルが四方に伸びていた。あまりに奔放に伸びているため、近くを通るとツルが顔に当たってしまうくらいだ。その左手には滑り台があり、フェンスの向こうには「みのわ自治会館」が建っていた。
公園中ほどへ進んでいくと、ブランコやジャングルジムなどの遊具が置かれていた。辺りには高い木々が伸び、近くにはベンチも設置されている。公園の周囲には大通りが走っているが、公園中ほどはとても静かで、落ち着いた雰囲気の公園だ。また、この細長い公園の入口は1カ所だけであるため、ちょっとした隠れ家のような構造の公園でもある。
公園の最深部に行くと、右手には鉄棒やレトロなシーソーが建ち並んでいた。そして、突き当たりのフェンスのすぐ先には、南武線の線路が走っている。目の前に線路がある光景というのはなかなか面白いもので、この日も小さな男の子が、お母さんに「もう帰るよ」と促されながらも、一心に行き交う電車を眺めていた。
(左)羽衣町三丁目交差点側の入口には緑川の橋柱が残っている
なお、公園の入口前の道には「尺串(しゃくぐし)橋」という橋の欄干が残っている。
公園名にもある「緑川」というのは、昭和18年(1943年)から昭和21年(1946年)にかけて作られた人工河川のこと。旧陸軍立川飛行場(現昭和記念公園)からの排水を処理する目的で作られた緑川は、昭和記念公園から緑川通りを東に流れ、国立市の手前で中央線をくぐり、羽衣いちょう通りからみのわ通りを進み、多摩川に流れ込んでいる。
なるほど、緑川の上に造られた公園ということで、このような公園名になったのだろう。なお現在は全区間が暗渠化されているが、この「尺串橋」や「羽衣小橋」など、いくつか橋の欄干が残されているようだ。古びた「尺串橋」の欄干片側には、「昭和三十四年竣功」と刻まれていた。
公園内の、緑川といちょう通りの誕生の由来が書かれた看板と、地図の拡大
(2020年10月掲載) 地図
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