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入口から立川富士見台緑地を写す
立川駅南口から奥多摩街道を通って「立川駅北口」へ向かうバスに乗り、「農業試験場前」で下車。バス停ほど近くにある「歴史民俗資料館」の案内板に従って崖を下っていくと、立川崖線の一部を散策スポットとして整備された富士見緑地に着いた。
緑が生い茂る緑地内に入ると、入口近くには句碑があり、「春を待つ路傍の石の一つ吾 水車」、「どこよりも小学校のさくらかな やまやのぎく」と刻まれていた。傍らにある案内板によると、両人とも立川市民俳句会で尽力された方々だそうだ。
(左)緑地の中心となる池 (右)立川崖線からながれる湧水
入口正面の崖に近づいてみると、石垣から突き出た取水口からジャバジャバと水が流れていた。流れ落ちた先は半円状の溜りになっていて、水面もよく澄んでいる。この辺りは崖線からの湧水が豊富な場所なのだそうで、豊かな自然に囲まれた風情のある一帯だ。溜りに手を入れてみると、ヒンヤリとした感触が心地いい。また、周囲はケヤキやムクノキ、エノキといったニレ科の植物を主体とした混合林になっており、近くのベンチで一休みしていると、緑の中を吹く風がいくぶん涼しく感じられた。
溜りの先は池の周囲に草が茂った湿地になっていて、近くではナシの木が伸び、傍らではアジサイの花が鮮やかに咲いていた。なお、この湧水は緑地の外まで流れ出ているようだった。
緑地内左手には崖を上る階段が設けられているが、階段を上って崖線上に出ても柵で囲まれた土地で、ちょっと残念だった。
(右)湿地の部分
この緑地には、時折近隣の人が散歩にやってくる位で、訪れる人の数はあまり多くはなかった。崖下にひっそりとたたずむ清流スポットといった雰囲気だが、崖線の散策中にちょっと一息つくにはいい場所だろう。
なお、富士見緑地の周囲には農林総合研究センターの広大な敷地が広がっているが、こちらには見学可能なエリアもあり、花と緑の散策路や香木園、みどりの展示園などを自由に見て回ることができる。崖下にある広場にはトイレもあり、中央にある噴水の傍らには、緑の屋根をまとった洒落たベンチが置かれていた。
(2020年7月掲載) 地図
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