小さな散歩道

郷地稲荷神社 (昭島市郷地町1-12-1)

 
(左) 稲荷大明神の鳥居  (右) 社殿


御神木の大ケヤキ
昭和34年の台風以降枝が折れて中が空洞だが
先端の枝は元気だ

境内の一部は児童遊園になっている

左側に「岩船地蔵尊」、右側に「馬頭観世音菩薩」

 立川駅北口から「拝島操車場」「拝島駅」「昭島駅南口」行きなどのバスに乗り、「西郷地」で下車。奥多摩街道の「郷地町」の信号近くから南に伸びる道を下っていくと、住宅街の中に鎮座する郷地稲荷神社に着いた。

  郷地稲荷神社の創建年代は天文年間(1532年-1555年)と伝えられており、旧郷地村の鎮守であったという。
  立派な社務所の横にある鳥居をくぐって境内へ入ると、参道の先には瓦屋根の古めかしい社殿が鎮座していた。社殿の周囲には神社を守るように高い木々が伸びている。参道を進んでいくと、社殿前で大変厳しい表情をした狛犬が出迎えてくれるが、上を見上げると、瓦屋根の両脇には可愛らしい狐が飛び乗っていた。

  社殿の左奥には、市の天然記念物に指定されている大ケヤキがある。神社のご神木でもあるこの大ケヤキは、樹齢が約400年、幹周りが7メートルほどもあり、昭島市内で一番の大木であるということだ。近くで見るとなかなか立派な大木であるが、幹の中央は折れ、幹の中も空洞になってしまっている。これは、たび重なる台風の被害によるものだそうだ。ちょっと痛々しい姿であるが、大ケヤキは地面に力強く根を張り、枝は空高く伸びていた。

  なお、境内は児童遊園としても活用されているようで、社殿の右奥にはカラフルなジャングルジムやブランコ、滑り台などが置かれていた。近くのベンチで足を休めていると、傍らでは「稲荷大明神」と書かれた何本もの赤いのぼりが風にはためいていた。高い木々に囲まれた小さな神社であるが、不思議と心の落ち着く場所でもあり、地域の人々には大変親しまれている神社なのだろう。

  郷地稲荷神社がある交差点から東へ少し進んでいくと、住宅街の一角に「岩船地蔵尊」と「馬頭観世音菩薩」という2つの小さなお堂が建っていた。住宅街に意外なものがあるものだと驚くが、お堂にはきれいな花が供えられていた。
  岩船地蔵尊は江戸中期に、濁世から浄土に人々を渡すために地蔵菩薩は頑丈な岩船に乗り、現れるというところから「岩船地蔵」信仰が関東地方で流行したそうだ。この昭島市郷地の「岩船地蔵尊」もその一つか。

  神社西側の坂道を下っていくと、崖下は遊歩道になっている。崖からは多くの緑が伸びていており、散策するのが気持ちのいい一帯だ。遊歩道を進んでいくと、長い芝生が広がるあおぞら公園に着いた。

(2020年1月掲載)  地図


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