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室町時代に建立された仁王門(重要文化財)
高幡不動駅の南口を出ると、駅前ロータリーの右側には「高幡不動尊参道」と書かれた赤い門が建っている。 両脇に商店が立ち並ぶ参道を進んでいくと、川崎街道の先に広大な敷地を持つ高幡不動尊が構えていた。
高幡不動尊の創建は、大宝年間(701−704年)以前、あるいは奈良時代の行基菩薩の開基とも伝えられている。 また、古くから関東三大不動のひとつされており、関東屈指の古刹として知られている。
境内入口に建つ仁王門は室町時代に建てられたと考えられており、古びた木の風合いが歴史を感じさせる重厚な楼門だ。 また、門の左右には寄木造りの金剛力士像が力強く立っている。
仁王門をくぐると、正面には左右に大きく広がった屋根が印象的な不動堂が建っている。 この不動堂は康永元年(1342年)に山中から移築されたもので、仁王門とともに国の重要文化財に指定されている。
不動堂の左手には、塔高40メートルの五重塔が建っている。高幡不動尊のシンボルであるこの塔は平安時代初期の様式で建てられており、 裏山・不動ヶ丘の緑に朱色を基調とした塔が美しく映えている。こちらでは外国人の観光客が満面の笑みで記念撮影をしていた。
五重塔の左手からは、裏山を巡る散策路が伸びている。落ち葉のじゅうたんを踏みしめながら右手の散策路を進んでいくと、巨大な鐘楼が見えてきた。 迫力ある鐘楼を過ぎ、傾斜のきつい山道を進んでいくと、一気に視界の開けたポイントに出る。 近年、この辺りの雑木林を伐採したため、境内西側への眺望が開けるようになったのだそうだ。 眼下に広がる住宅街の先に連なる山々を見通すことができ、天候によっては富士の姿も拝むことができる。
裏山の頂上に向かってみると、頂上部の入口に「高幡城址」という看板があった。中世にはこの裏山一帯に高幡城が築かれていて、頂上部は本丸跡と伝えられているのだそうだ。 城の痕跡などは特に残されてはいないようだったが、頂上の広場からは北東への眺望が開けていて、この日は都心の高層ビル群まで見渡すことができた。
裏山の散策路は山内八十八ヶ所巡拝コースにもなっており、所々にお地蔵様がまつられている。お地蔵様の傍らでは、もみじが紅く色づいていた。
(2019年1月掲載) 地図
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