小さな散歩道

ひぎり地蔵 (昭島市大神町)

 
(左) ひぎり地蔵小屋  (右) ひぎり地蔵


焼香台も

地蔵尊の脇に建つ石碑

観音寺

 立川駅北口から「拝島営業所・拝島駅」行きのバスに乗って、「成隣小学校」で下車。バス通りである奥多摩街道から北へ向かい、新奥多摩街道に出る。右手の八高線をくぐるアンダーパスの入口付近には高層マンションが建っているが、その駐車場の一角に茶色いプレハブ小屋がひっそりとあった。これが「ひぎり地蔵」のようだ。

  「ひぎり地蔵」の「ひぎり」とは、「日限」のこと。3日に一度、5日に一度などと日限を切って参拝し、祈願をこめると霊験があるといわれている。こちらには、江戸時代に造立された3体の地蔵がまつられており、今日でも近隣の人々の信仰を集めているそうだ。

  外観はプレハブ小屋風だが、内部は木が張られていて、「日限地蔵尊」というちょうちんが掛けられていた。正面には3体のお地蔵様が安置されており、赤い前掛けに帽子をかぶっていた。その両脇には折り紙で作られた色鮮やかな房が飾られており、手前の花瓶にはきれいな花もお供えされていた。
  またこの建物は、お地蔵様の両脇の上部から少し光が差し込むように造られている。今年は厳しい冬であったが、差し込む陽光でお地蔵様も少しは温もりを感じられたかもしれない。

  正面脇には多くのお線香と微笑む小さなエビス像。その近くには参拝記帳も置かれていた。また、定期的に掃除に訪れる人がいるのだろう、傍らにはホウキやチリトリなどがあった。 小さな地蔵尊であるが、近隣の人々に慕われていることが感じられる。地蔵尊の中で腰を下ろしていると、近くの街道の喧騒も不思議と気にならないもので、心の落ち着く空間でもあった。

  地蔵尊の脇には石碑と看板が建っている。石碑には「阿り可多や ひきり地藏を念ずれバ 二世の代までも まもるみ佛」と書かれていた。

  帰りは、観音寺で手を合わせてから多摩川に回った。
  多摩川の土手に着くと、周辺は「大神公園」として整備されており、立派な野球グラウンドが広がっていた。そして、河川敷の一角には「平の渡し跡」という小さな看板が建っていた。こちらは対岸の八王子市平町と大神町を結んだ渡しで、日野用水堰の付近にあったという。多摩川には多くの渡し跡が見られるが、ここは市域で最古の渡し場であったそうだ。

(2018年3月掲載)  地図


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