小さな散歩道

疣地蔵(いぼじぞう) 昭島市拝島町5丁目


縄で縛られている疣地蔵

デッキにおいかぶさる緑。崖の上に龍津寺がある

岩の間から湧水が流れ出る


疣地蔵の祠

 立川駅北口から「拝島営業所」または「拝島駅」行きのバスに乗り、「啓明学園」で下車。バス停近くの多摩辺通りを入ると、正面に大きな木がそびえる啓明学園が見えてきた。この啓明学園向かいの細道の先に、疣地蔵がひっそりとたたずんでいる。

  住宅地の一角に2つの祠があり、大きな祠が疣地蔵だ。長方形のその姿は、地蔵というより石碑のようにも見える。掛けられていた案内板には、「このお地蔵様は江戸時代の罪人(義賊)の墓だと思われる 昭和初年までこゝの南百米の崖上にあった」とある。

  願かけの方法は「『荒縄でしばり疣(病)を直してくれたら縄を解くと願掛けをする』道下講中」と書かれていた。「地蔵」と名付けられているが、実際は「墓石」ということのようだ。小さなお地蔵さまであるが、地元の人には古くから「疣神さま」として慕われているそうだ。よく見ると、お地蔵さまの下部は縄で縛られており、その下には丸い石が置かれていた。
  すぐ近くにはベンチの置かれた小さな広場があり、お参り後はこちらで一息ついていきたい。

  ここから多摩川方面へは崖下になっており、石垣に囲まれた道を進んで下まで下りると、水道局の拝島原水補給ポンプ所があった。このポンプ所と崖の間には「下の川」と呼ばれる川が流れており、周辺は散策コースとして整備されている。

  崖側からは川を覆うように緑が伸び、水辺には大きな岩がいくつも積み上げられている。「こんな場所があったのか」と思ってしまうほど、庭園のように美しい光景が広がっている。東京の名湧水57選にも選ばれている川の水はとても澄んでおり、所々から湧水が滝のように流れ落ちている。途中にあった水辺にせり出したデッキから、水の中を覗き込むと、清流の中を色とりどりの錦鯉がたくさん泳いでいる。優雅に泳ぐ様には心も和んでくる。
  ここの崖上には龍津寺(りゅうしんじ)がある。龍津寺からこちらから訪れてみるのもおすすめだ。

 

 

 

 

(2017年10月掲載)


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