小さな散歩道

まいまいず井戸 (羽村市五ノ神)

 

 

 

 

 

 


(右)  まいまいず井戸の全体像。地表との高低差がよくわかる
(左) 井戸には金網がかかっている

 羽村駅を東口に降り、駅前の西友を過ぎると、五ノ神社境内に建つ「東京都史跡・五ノ神まいまいず井戸」という木製の看板が見えてくる。
  「まいまいず」とは「カタツムリ」のことであり、地表面から井戸に向かってグルグルと螺旋状に小道がめぐっているため、この名が付けられたそうだ。井戸の形態や板碑などの出土からみて、鎌倉時代につくられたものと推定される。通常、井戸とは垂直に掘るものであるが、掘削技術が未発達の時代にこの辺りの砂礫層の地層に井戸を掘る必要があったため、このようなすり鉢状の形態になったと考えられている。


井戸入口

五ノ神社本殿

  まいまいず井戸の地表面での直径は約16メートル、深さが約4.3メートルもあり、外周部は石垣で囲われている。上から全体を見渡すと、井戸に下りていく小道がまさにグルグルと回っている。「まいまいず」とはうまくつけたものだな、と感心してしまう。またすり鉢の上部では、斜面から這い出るように木々が伸びていた。

  螺旋状の小道を足下に気をつけながら、下りていく。小道には柵とロープがあるが、すり鉢は結構な急角度で掘られている。グルグルと下に下りていくうちに、だんだんと光が遮られていき、辺り一面にはすり鉢の周壁が広がっている。なんだか奈落に向かっているような不思議な感覚に陥ってくるが、遥か上方の地表面では、ベンチでお母さんたちが談笑しており、なんとも落差のある光景だ。


井戸の壁面は玉石で築かれていた。底の水が見えた

  周壁を2周ほどすると、すり鉢の底にある井戸にたどり着く。木製の屋根がついた井戸には格子の上に網が張られており、さらにその上には重しのような長方形の物体が置かれていた。深さ5.9メートルの井戸を覗き込んでみると、「チャポン」と水の音がした。肉眼では分からなかったが、撮った写真を後でよく見てみると、今も確かに水があることが分かった。

(2017年8月掲載)  地図


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