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まだ桜がつぼみの3月中旬の緑道
多摩モノレールの柴崎体育館駅の近くには、モノレールと交差するように根川緑道が東西に伸びている。この延長約1.3キロメートルほどの緑道には、豊かな自然が保全されており、緑の中を小川がせせらぎとなって流れている。
駅から下流に向かって進んでいくと、水上にせり出したあずまやがあった。あずまやから水面を覗いてみると、水はきれいに澄んでいる。清流は生き物たちにとっても居心地がよいのだろう、色とりどりの鯉や鴨たちが水面を優雅に泳いでいた。柴崎体育館の入口辺りは親水広場になっていて、水辺に降りられる。水辺にはちょうど足場となるような石が点在していて、子どもたちや親子連れが楽しそうに水と戯れていた。
トンネルをくぐって進んでいくと、大きな4つの十字架のオブジェがあった。以前から不思議なオブジェだと思っていたが、近づいてみると、水の噴出口があった。これは「霧のオブジェ」というもので、井戸水や浄水を使って霧や滝を発生させるものだそうだ。その先には水上デッキのある大池があるが、デッキ上は立派なカメラを構えた人たちで賑わっていた。彼らの視線の先に目をやると、鮮やかなブルーの羽根をしたカワセミの姿があった。
さらにトンネルをくぐると、野球場の脇に出る。この辺りは川幅も広くなり、両岸には桜並木が立ち並んでいる。このあたりはお花見スポットとしても知られており、季節には多くの人で賑わうのだろう。
その先の緑道の終点に向かうと、木造の大きな橋が架かっていた。これは貝殻坂橋という橋で、古い釣り橋をイメージさせる独特の造りをしている。橋の名の由来は、かつて橋の先にある国立の青柳段丘辺りから貝殻が多く出たことから、段丘を「貝殻坂」と呼んでいたことにちなむという。
橋には貝による装飾がなされており、欄干部分も木製の格子になっていて、大変雰囲気と存在感のある橋だ。この日は多摩川土手をサイクリングする人たちも多く、自転車が橋を通るたびに「べコベコ」と板を踏む音が響いていた。
また根川緑道には、立川にゆかりのある文学者や市民の詩碑・歌碑・句碑があちこちに建立され、「詩歌(しいか)の道」としても整備されている。
(2017年4月掲載) 地図
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