小さな散歩道

築地の渡し跡 (昭島市福島町3丁目)


見晴らしのいい複合遊具

クジラ型の砂場

くじらのかたちをした遊具も

 立川駅北口から「拝島駅・拝島営業所・昭島駅南口・東中神駅」行きのバスに乗り「福島」で下車。ここから福島通りを進み、新奥多摩街道を渡ると、多摩川の堤防上にある「福島第五児童遊園」に着く。
  滑り台や砂場、東屋などが備わった小さな遊園だが、よく見るとなかなか面白い遊園だ。木製の高いやぐらからカーブして滑り降りる滑り台は、実際に登ってみると展望台のように見晴らしがよく、なかなか気持ちがいい。また、傍らにある砂場は昭島市ゆかりの鯨の形になっており、ていねいに鯨の目まで描かれている。その横には、パンダとこれまた鯨の形をした遊具があった。


築地の渡しのモニュメント

  児童遊園から多摩大橋の方へ進むと、堤防の端に小舟の形をした「築地の渡し跡」のモニュメント(長さ約1.5メートル、高さ50センチほど)が設置されている。案内板によると、かつてここには「築地の渡し」と呼ばれる多摩川の渡し場があり、ここ昭島の築地村と対岸の八王子の粟ノ須村を結んでいたそうだ。
  この渡しは、明治時代には「福島の渡し」と呼ばれ、昭和16年頃まで存続していたそうだ。また、この渡しの道筋は大山街道と呼ばれており、埼玉県の所沢から神奈川県の大山に至る古くからの主要道だったとか。
  モニュメントは小さな白い石像で、堤防の一角にひっそりとたたずんでいる。もうかつてのことを知る人は多くないのかもしれないが、ちょっと寂しさを感じさせるモニュメントだ。


多摩大橋

  深紅のアーチが印象的な多摩大橋を超え、堤防上を進んでいくと、大きな水門があった。この水門近くでは30羽ほどだろうか、鴨の大群が群れをなしていた。鴨たちは護岸で休憩したり、水面を優雅に漂ったりと思い思いに過ごしていたが、このポイントは鴨たちにとって大変居心地のよい場所なのだろう。また、近くの河川敷では時折小さな野鳥がやってきて、人気の少なくなった芝生の上を飛び回っていた。
  堤防上をさらに進んでいくと、もう陽が暗くなるなか、運動公園で少年たちが懸命にボールを追っていた。

(2017年3月掲載)  


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