小さな散歩道

目黄不動尊 (昭島市玉川町5丁目)


(左) 目黄不動尊入り口    (右) 目黄不動尊

 東中神駅から徒歩7分。駅を降り、交番の横を真っ直ぐ南へ。江戸街道を渡って進み、商店街の中にある八清(はっせい)ロータリーを過ぎ、 八清通りから右に入る道を進むと、天台宗真覚寺の脇立、目黄(めき)不動尊が見えてくる。

 目黄不動尊の創建は、慶長年間(1600年前後)と推測される。かつては多摩川の中州にあったそうだが、 文化8年(1811年)の多摩川の大洪水により流失し、河畔より築地(ついじ)村(現玉川町)の村民と共に現在地に移転したという。
  境内に入ると、鳥居の上部を外したような形の門が構えていた。この漆黒の大きな門はなかなかの存在感を放っている。 門の先の不動堂には「目黄不動尊」が安置されている。直接目にすることはできなかったが、この「目黄不動尊」とは、目を黄色く彩られた不動尊立像であり、 江戸幕府が五街道に鬼門除けとして設置したものだそうだ。また、不動堂の傍らには、合格祈願などを願った絵馬が掛けられていた。


(左)真覚寺本堂    (右)真覚寺の鐘楼

 不動堂左手には立派な本堂が構えており、鐘楼のそばにはベンチも置かれていた。境内は高い木々に囲まれており、 通路脇に整然と置かれた小鉢からはアガパンサス(和名ムラサキクンシラン)が水色の清涼感あふれる花が、目を楽しませてくれる。 また、墓地の近くには小さな藤棚もあって大きなお寺ではないが、心の落ち着く境内だ。

 不動尊を出て、木造のレトロな築地公会堂を過ぎると、十二神社がある。築地村の鎮守であったこの神社も、かつて現在の多摩大橋付近にあったものの、 多摩川の大洪水によって被災し、移転してきたそうだ。 一見がらんとした境内であるが、奥に進むと、石垣の上に本堂が建っていた。 木製のなんとも古めかしい本堂だが、境内奥に人知れずひっそりとした佇まいが雰囲気を醸し出している。 また、本堂左手には小さな祠があり、その前には人ひとりがやっと通れるくらいの幅をした、鳥居が建っていた。
  この辺りの道はなぜか迷路のように入り組んでおり、細い路地も多い。昔ながらの住宅も多くあり、なんだか郷愁を誘う一帯でもある。

(2016年7月掲載)  地図


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