小さな散歩道

疣(いぼ)地蔵 (昭島市拝島町5丁目)


台座が縄で巻かれているところが珍しい

瘡守(かさもり)稲荷

拝島天神社の本殿

拝島天神社の参道


左が疣(いぼ)地蔵

  立川駅北口から「拝島営業所」または「拝島駅」行きのバスに乗り、「啓明学園」で下車。学園向かいの細い道の先に小さな祠が2つ、ひっそりとたたずんでいた。これが「疣地蔵(いぼじぞう)」だった。

 住宅地の一角にあるこの2つの祠、左側の大きな祠が「疣地蔵」だ。石段に乗ったこの地蔵は長方形の形をしており、よく見ると下部を細い縄で縛られている。
  案内板には「このお地蔵様は江戸時代の罪人(義賊)の墓だと思われる。昭和初年までこゝの南百米の崖上にあった。願かけの方法は荒縄でしばり疣(病)を直してくれたら縄を解くと願掛けをする。道下講中」とあった。「地蔵」とはいうものの、墓石のように見える。地元の人からは古くから「疣神さま」として慕われ、実際に疣が治った、願いが叶ったという話がいくつも伝わっているそうだ。
  近くの龍津寺の境内には、皮膚病にご利益があるとされる瘡守(かさもり)稲荷があり、「疣地蔵」と何か関係があるのかもしれない。周囲にはベンチの置かれたちょっとした広場があり、お参り後はこちらで一息ついていくのもいい。
  地蔵向かいの民家の塀には、木製の車輪のようなものが立て掛けてあり、一帯はどこか不思議な雰囲気を醸し出していた。

  バス通りを渡り、拝島駅方面に少し進むと拝島天神社がある。こちらは国立市の谷保天満宮から分霊し、文禄年間(1592-1596)に創建されたと伝えられている。学業の神様である菅原道真を奉っており、古くから地域の子どもたちにも親しまれてきた神社だ。その名残だろうか、境内外周部には児童遊園があり、ジャングルジムやブランコ、滑り台などの遊具が置かれていた。
  入口からまっすぐに伸びた参道脇には木々が整然と立ち並び、その先の石段上に古めかしい拝殿が鎮座している。ちょっとうっそうとした雰囲気だが、緑の中に映える朱色の屋根が印象的だ。
  拝殿裏手は高台になっており、隠れた梅の名所としても知られる。毎年2月には梅の美しい姿を見せてくれるという。

(2015年11月掲載)  


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