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(左) 緑豊かな富士塚公園 (右) 神社の鳥居
西立川駅の南口からバス通りに出て、立川方面に5分ほど歩くと、左手に緑に囲まれた富士塚公園が見えてくる。一見普通の公園だが、よく見ると公園奥には立派な石垣に囲まれた小高い丘があり、入口には鳥居がひっそりと設えられている。これが公園名にもなっている富士塚のようだ。
鳥居横には立川市による看板があり、その説明によると江戸時代、富士山の霊験にあやかり現世利益や病気平愈を願う「富士講」が盛んで、成人男子による富士登山が行われた。だが、女性や子どものように実際の富士山に登れない人々は富士に似せた塚を築き、これに登ったという。立川(旧柴崎村)に富士講の話は残っていないので、塚の頂上から富士山がよく見えたことから富士塚と呼ばれたという説もあるそうだ。また、この地は江戸時代から地名として現れる場所なのだそうだ。
鳥居をくぐり、急な石段を上ると頂上には浅間神社の社があった。社は生い茂った緑に囲まれており、目の前をチョウが舞い、近くの木からはセミの鳴き声が聞こえてくる。今は周囲に塚よりも高い建物が立ち並んでいるが、かつてはここから富士山が望めたのかもしれない。
社の裏側から塚を下りて公園北側にでると、西立川児童会館があり、そこには学童保育所も併設されていた。広場には恐竜型の遊具や、雲ていと滑り台などが組み合わさった複合遊具が置かれていた。その中にはピースを回して虎や犬の絵を出現させるユニークな仕掛けも施されている。学童帰りの子どもたちは、暑さをものともせずに園内を駆け回っていた。
他には広場とベンチがあるだけのシンプルなつくりの公園だが、石垣上の富士塚一帯だけがジャングルのように茂っている光景は、不思議な存在感がある。
公園の裏手には、富士見一西公園があり、緑の中を走る青梅線を背に、子どもたちが水遊びに興じていた。線路をたどって残堀川にかかる富士塚橋傍らの踏切から西立川方面を望むと、橋梁先の緑に吸い込まれるように線路が伸びていた。
(2015年8月掲載) 地図
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