小さな散歩道

西立川駅のオブジェ (立川市富士見町1丁目)


ボードゲームはいつでも子どもたちの人気者

昨年の夏休みは怪獣がお出迎えした

廃材がモニュメントの材料

 JR東日本の青梅線西立川駅は国営昭和記念公園の最寄り駅である。同公園に遊びに来る子どもたちの人気を集めているのが改札口手前にあるオブジェコーナー。6月末の土曜日、電車が到着すると子どもたちが改札口手前の同コーナーに走ってきた。

  縦175センチ、横は180センチのパネル一杯にゲーム版が設置されている。上から落としたボールがジグザグに作られた“道”を通って足元の箱に入るという単純な遊びだ。お父さんに抱っこしてもらい上のスタート地点からボールを落とす。ボールの行方を追う子どもたちの視線は真剣そのもの。どの道を通るか、つっかえないで無事ゴールにたどりつけるか。「うちの子は5歳ですが、ここのゲームで遊ぶのを公園に来る一つの楽しみにしていますね」と一緒に来たその子のパパは言う。


ときには大胆な墨絵も登場(平成24年1月)

  オブジェはゲームだけでなく、正月はその年の干支(えと)を、雛まつり、端午の節句、夏休み、クリスマスと季節に合わせてテーマを変えている。昨年の夏は約2メートル大の黄色い「ゴジラもどき」怪獣親子を展示して大人気だった。

  作者は西立川駅勤務6年になる駅員の柳原朔郎さん(68)。
  始めは旅行のポスターなどを貼っていた。立体にしたらお客さんに喜んでもらえるのではないか、と4年前から休憩時間を利用してオブジェ作りを始めた。材料は全て廃材。ダンボール箱、FAX紙などのロール芯、菓子の空き箱、新聞紙など何でも利用する。道具はカッターとのりと水彩絵の具が主だ。

  「設置する場所は通路の一部なので。オブジェが出っ張りすぎるとお客様に迷惑がかかります。薄い立体が今も変らない制作上の条件です」と柳原さん。
  第1作はダンボール制のボールゲーム。使うボール選びにも苦心した。「スーパーボールではゴールしたとき跳ねて箱の外に出てしまい、お子さんがボールを追いかけて通路を走ったら危ないですね。いろいろ百円ショップで探しました」。結局、軽くて跳ねない直径3センチの木製のボールに落ち着いた。


  ピーナツのからも木靴に変身。手前はボードゲームのボール(木製)

  職場では「廃材利用の達人」と呼ばれている柳原さんだが、4年間継続できたのは、「お客様の応援して下さる声と職場の仲間が協力してくれるからです」という。 駅舎にオブジェを飾ったり、職場内に作品作りをするスペースがあることも大きな条件かもしれない。 取材に行った日には昨年の怪獣に負けない作品を制作中とのこと。次回作が楽しみだ。

(2015年7月掲載)  地図


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