小さな散歩道

日野用水

鴨があそぶ日野用水
よそう森公園
用水を水車の動力に使っていた(水車堀公園で)
東光寺
谷地川とクロスする日野用水
石川堰

レンガ橋。上を中央線が通る

 日野駅を出て、中央線の前身・甲武鉄道開通当時から鉄路を支えるレンガ橋へ。この辺りから日野用水の上流へを歩いてみた。早速用水を覗いてみると、駅近くだというのに、つがいの鴨が羽根を休めていた。

  市街地から10分ほど歩くと、次第に視界も開けてきて、田んぼも見えてくる。この近くにあるのが、よそう森公園だ。園内には小さな用水が張られていて、井戸から水が湧き出ている。用水には小フナやザリガニなども生息しているようで、子どもたちが網を持って水面を凝視していた。せせらぎを聞きながら広がる田んぼを眺めていると、なんとものどかな気持ちになってくる。この近くには、かつて日野に多く存在したという水車を配した水車堀公園もある。

  用水が二手に分かれる石橋碑の辺りから、もう一方の用水を下り、東光寺薬師堂へ。寛政6年(1794年)に建てられたという堂宇は、薬師如来坐像と共に日野市指定の有形文化財だ。銅板の屋根を背負ったお堂は、派手さはないものの歴史の重みを感じさせる造り。お堂正面の天高く伸びる白い塔も印象的だ。

  再び用水を上っていき、谷地川を渡る新旭橋へ。ここでは用水も川を渡っており、橋に平行して水路が架けられている。またここからは、高台である東光寺台地が谷地川にかけて急に削り取られているような地形がよく分かる。橋を渡ると、用水は左へ曲がっていく。この辺りは坂道となっており、自分は坂を下っているのに用水は坂上に上っているかのような錯覚に陥ってしまう。
  坂を下ると、かつて「お茶屋の松」という黒松の大木があった場所に着く。この松は昭和40年代頃まで存在したそうで、枝ぶりも見事な松だったそうだ。ちなみに名の由来は、ここにお茶屋があったからとか、近くで谷地川が多摩川に落合うからなど諸説ある。現在は工場の敷地に細い松が植えられており、周辺は釣りも楽しめる場所として整備されている。この日は平日のためか、工場の人たちの憩いの場にもなっている様子だった。

  この先には石川堰があり、余水が旧谷地川の川筋を利用した谷地川用水へ落とされている。あまり近づくことはできないが、近くには「日野用水改修記念碑」が立っていた。

 

(2014年4月掲載)


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ