あなたの町の朝日新聞店 | 小さな散歩道 目次へ |
西地下道の南の入口
立川には駅の東西に線路を潜る2つの地下道がある。駅の自由通路は自転車などでは通行できないため、地元の人たちにとっては欠かせない存在だ。地下道といえば、暗くて怖いといったイメージがあるが、こちらの2つの地下道には、壁いっぱいにカラフルな絵が描かれており、雰囲気の明るい地下道として知られている。
道幅の広い西地下道(約125メートル)の絵画は、立川国際芸術祭の一つ「子どもとアートプロジェクト」として取り組まれた。子どもたちの創作教室「立川キッズ」(後のNPO法人こどもと文化協議会・プラッツ=本郷潤代表)が世話人となり3年かかって2001年夏に完成した。
1年目は南のスロープ、2年目は地下道の東側壁面、3年目で残り全部。立川一中、二中の美術部の生徒が中心になって約650平方メートルに及ぶ壮大な壁画を描いた。可愛らしいものから古代神話風の壁画まで、様々な物語が描かれている。
中でも中央辺りにある地上の駐輪場に抜ける階段脇に描かれている風神と雷神の絵はなかなか迫力があって面白い。毎朝通勤・通学でここを通る人たちにとっては守り神のような存在なのだろうか。当初は落書きやビラなどに埋め尽くされていたという地下道だが、環境は大幅に改善したという。
120人の美大生が1ヶ月、毎日ボタンの絵を描いた。
(東地下道、2005年3月) (右)色の洪水の東地下道 (現在)
その実績が高く評価され、立川市から東側の地下道にも壁画の製作依頼がプラッツに。
こちらの壁画は近隣の美大生や予備校生など、150人以上の有志によって描かれたもので、2005年に完成した。JR東日本の「中央線が好きだ。」ポスターにも起用されたこの地下道は、西側とは趣が異なり、色とりどりのボタンがモチーフ。北と南をボタンでつなぐという意味が込められている。
(2013年12月掲載)
小さな散歩道 目次へ | 前へ | 次へ |