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日野用水は永禄10年(1567)から続く用水路であり、多摩川より八王子市の平堰で取水され、途中で下堰掘と上堰掘に分かれ、甲州街道に沿った街並をはさむように流れている。今回は日野駅から用水路が谷地川とクロスする新旭橋までを歩いてみた。
日野駅を出て立川方面に少し進むと、中央線を支えるレンガ橋が見えてくる。水路を渡すこの橋は、中央線の前身・甲武鉄道の開通時の明治37年(1904)から使われていたものだ。駅周辺には市民による看板が設置されており、当時と現在の日野の変貌振りが写真付きで紹介されていた。50年ほど前には駅周辺も畑が広がっており、のどかな風景だったようだ。
水路に沿って10分ほど歩くと、左手によそう森公園がある。この公園には水田と用水路が組み込まれており、水田は近くの小学生が米作りの体験学習をする場にもなっているようだ。穏やかな水の音を聞きながら田んぼを眺めていると心が安らいでくる。すぐ隣の新坂下公園には簡易トイレも設置されている。
少し先の水路沿いには水車堀公園もある。小さな公園だが、間近で水車を見ることができる。かつて日野の用水路にはこのようなたくさんの水車が架けられ、製粉などに使われていた。
石橋碑を過ぎ、そのまま直進すると新旭橋に着く。橋に平行して水路が架けられており、ここで用水は谷地川を渡っている。あまり近づくことはできないが、近くの高台に上がる階段から眺めると、全体像がよく見渡せる。この辺りはたぬきやハクビシンが出没するそうで、谷地川を覗き込むと優雅に漂う鴨の姿を見ることができた。
高台上の東光寺緑地沿いには畑も多く、視界が開けてなかなか気持ちがいい眺めだ。緑地内にはあまり立ち入れないが、傾斜地にひっそりとたたずむ神明神社に寄ってみるのもよい。
(2012年11月掲載)
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