小さな散歩道

すずかけ三兄弟 (立川市緑町)

4月のスズカケ。西側を通るモノレールが見える根本の補強がされた 立川駅北口から多摩モノレールの軌道下のサンサンロードを北に歩いて10分の三叉路の角。立川中央公園の信号のところに、3本のスズカケノキ(種類はアメリカスズカケノキ)がある。落葉広葉樹で学名はプラタナス。鈴に似ている実が成るので鈴掛けの木という和名がついた。樹高約35メートル以上、樹齢は約60年。
  ここはかつて立川米軍基地があったところ。敗戦後、米軍が立川に進駐した翌年、日米親善のシンボルとして米軍が植えたらしい。1977年基地が返還されてスズカケノキが植わっている所は国有地になった。そして20年後、区画整理で周囲の道路が拡幅される計画がもち上がった。「立川の戦後を50年以上見守ってきた木を切らないで」と市民から保存運動が起きた。彫刻家の友安昭さんは銅板造型作家・赤川政由さんら立川に住む芸術家に呼びかけて「スズカケ3兄妹(きょうだい)救出大作戦」を開いた。あえてきょうだいという文字を「兄弟」ではなく「兄妹」と使い女の子も仲間という気持ちを込めた。こうして多くの市民の力でスズカケノキは残った。
「スズカケ3兄妹救出大作戦」の中心になった赤川さんと友安さん、橋爪さん(左から)  2000年立川市に引っ越してきたクラリネット奏者の橋爪恵一さん(立川市)は、この話を忘れないように、スズカケノキにちなんで、木で作られた3本の木管楽器のコンサートを企画。2006年2月、立川市でクラリネットとオーボエ、ファゴットの演奏でスタートした。今年2月で23回目を迎えた。「小さな力が積み重なってスズカケノキが残った。この話をコンサートで伝え続け、子ども達の未来のために立川にも美術館やコンサートホー ルが出来て、この街ではアートが日常のものになってくれたら」と橋 爪さんは言う。
原仲裕三さん作の「ファーレ立川の風」  帰りは、同所から徒歩5分の所にある昭和記念公園に足を延ばすのもいい。シバザクラ、フジ、ハナミズキが見ごろだ。5月5日(火・祝)のこどもの日は小・中学生の入園料は無料になる。また65歳以上は今まで大人料金(400円)と同じだったが、4月から半額の200円になった(年齢を確認できるものを提示)。

(2010年5月掲載)  地図


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