小さな散歩道

日原鍾乳洞 (東京都西多摩郡奥多摩町日原)

鍾乳洞入口 あみだの原・ガマ岩 十二薬師

新洞内 青梅線奥多摩駅前からバスで30分、東日原下車、徒歩25分。標高約650メートルの所にある東京都の天然記念物・日原鍾乳洞(にっぱらしょうにゅうどう)に涼を求めに行った。延長1270メートル(見学ができるのはその内の800メートルだけ)と都内最大規模の鍾乳洞だ。
  日原川支流の小川谷を渡って洞窟の入口に立つ。中から冷たい風が吹き出てきた。「年中平均摂氏11度で夏は涼しく、冬は暖かい」と解説文にあったがかなり寒い。岩壁の温度計を見るとなんと摂氏9度をさしていた。涼しいというより寒い。高い岩の壁に挟まれ道幅1メートル弱の狭い道を進む。天井や、岩から水滴がポタッ、ポタッと音を立てて落ちる。足元も水で濡れている。明かりは所どころに取り付けられた蛍光灯のみだ。暗い上に道が曲がりくねっているので先が見えない。自分がどこにいるのか分からない恐怖感に襲われる。
細長い石筍  鎌倉時代から修験者の聖地として、自然崇拝の信仰を集めていたそうだ。松明(たいまつ)を片手に参詣したので、本来白い鍾乳石が黒ずんでいるのはそのためという。岩にはその形から鳩胸とか蓮華岩とかいろいろな名前がついている。船底岩を過ぎたところに水琴窟(すいきんくつ)が設置されていた。水を張ったカメに落ちる水音の澄んだ響きを楽しむ。人気の縁結び観音、十二薬師とめぐり、昭和37(1962)年に発見された新洞に入る。鉄階段での上り下りが多く、手すりにつかまりながら高低差134メートルを実感する。
  新洞部分はみごとに成長した石筍、石柱の数々が乱立する別世界だ。つらら状垂れ下がる鍾乳石は3センチ伸びるのに200年、上に向かって成長する石筍は400年以上の年月を費やしているという。大自然の神秘的を堪能した40分だった。外に出たら暑い現実の世界に戻された。

 

■交通/8月と土曜、休日以外は日原鍾乳洞行バス終点下車。徒歩約5分。
■営業時間/4月〜11月は午前8時〜午後5時、12月〜翌年3月は午前8時30分〜午後4時30分。年中無休。■入場料/高校生以上600円、中学生400円、小学生300円。 滑りやすいのでウォーキングシューズを。簡易カッパも必携。
■駐車場料金/平日無料。土日・祝日・GW・夏季の混雑時等、交通整理員配置時は3時間まで500円。
■ 問合わせ/TEL 0428-83-8491

(09年8月掲載)  地図


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