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青梅線昭島駅から「つつじが丘通り」を歩いて10分余り、道沿いの生垣の向こうに突然、新幹線の巨大な車両が現れた。 白とブルーのツートンカラーは、まぎれもない初代0系の車体。見慣れた丸っこい顔の運転台つき先頭車両は、 ちゃんと2本のレールに乗っかっている。かつての「夢の超特急」だ。
実はこの車体、14年前スタートした昭島市民図書館の「つつじが丘分室」。毎週火曜から日曜の、 午後12時半から5時まで開かれている。毎月第二金曜と第三土曜には「おはなし会」もあるとのこと。 ただ、休館日の月曜が祝日の場合は、火曜が振り替え休館となる。
訪れた日は金曜日の午後で、車体の片側に取り付けられた青い階段を上り、ドアから中に入ることが出来た。 デッキの部分が受付で、その右の客室が閲覧室だろうか。走っていた当時と同じ座席がズラリと並んでいる。 客室の3分の1ほどが書棚になっており、ボランティアの方たちが忙しそうに整理していた。
先頭の運転台は、大人と一緒なら子どもも入れる。最高260キロを示す速度計や、ブレーキ。 現役時代そのままの運転装置に触ることが出来る。さらに、車体後部の行き先表示にある「ひかり 博多」の 赤い文字が、目を引く。胸躍らせ、旅に行くような気持ちで乗り込む子どもも、いるかもしれない。
車体のすぐ隣は公園で、滑り台やブランコで遊ぶ子どもたちも。その公園から車両を眺めると、 まるで新幹線がゆっくりと、公園の中を通り過ぎて行くような楽しさを感じた。
(2006年11月号掲載) 地図
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