小さな散歩道

阿豆佐味天神社(あずさみてんじんじゃ)  立川市砂川町4丁目

  多摩モノレール砂川七番駅を降りて、五日市街道を歩くこと約20分、街道に面して石造りの鳥居が見えて来た。 参道の奥には、銅板ぶきの拝殿がずっしりと構えている。近づいてみると、正面の軒下や上がり口に、 竜や狛犬などの彫刻が施されており、荘厳さを一層増しているようだ。
  傍らに立つ説明板に、神社本殿が昭和45年、立川市の有形文化財に指定された、とあった。 それによると、寛永6年(1629)頃、村山郷殿ケ谷(現瑞穂町)から勧請され、 以来砂川村の人々の心のよりどころとして信仰されてきた。この拝殿は18世紀前半に建てられたものと考えられ、 市内の木造建築としては最も古いものの一つだという。
  本殿の右横に、一回り小さい社が二つ並んでいた。本殿に近い社の脇の立て札に、 「御祭神 金色姫命 蚕影神社(別称猫返し神社)」と書いてある。蚕影は「こかげ」と読むそうで、 砂川地区は古くから養蚕が盛んだったため、その守り神として、常陸国(現茨城県)から勧請されたとのこと。 「猫返し」とは、蚕に悪さをするネズミを捕らえる猫を守り神とするところからついた名だそうで、愛猫の無事を祈る参拝者が、遠方からも訪れるという。
  もう一つの社の立て札には「水天宮」とあり、安産、育児の守り神として、まつられている。 境内にはひと足早く七五三に訪れた家族連れの姿が、チラホラ見られた。

 

(2006年12月号掲載)  地図


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