小さな散歩道

富士見第二公園 (立川市富士見町4丁目)

 

  青梅線西立川駅から、富士見通り、奥多摩街道を歩いて15分余り、「富士見町4丁目」バス停の前に公園が広がっていた。
  入り口付近の歩道は幅広く、カラータイルが埋め込んであり、ゆったりした感じ。右側の入り口には車イスのマークが立っていて、スロープになっている。そこを降りて行くと平らな広場だ。夏休みらしく、女生徒が4人ほど歓声を上げながら、球技に興じている。園内の片隅には、小規模ながら滑り台と一体になった複合遊具のほか、幼児用のパンダやコアラの形をした乗り物も。
  広場から一段下に向かう石段があった。数えたら63段もある。下も広場になっており、その先は残堀川の岸だ。上の広場が開放的なのと対照的に、こちらは高い樹木に覆われて、夏の強い日差しをさえぎってくれそう。
  その一角に御影石で出来た石碑があった。「シクラメンの花と」と題した短い詩と田中冬二という詩人の名が刻んである。傍らの説明板によると、冬二は福島県の生まれで、大手銀行の立川支店長を勤めたが、若い頃から現代詩作家として認められ、高村光太郎賞を受けたこともある。この詩は市内の親しくしていた花屋から、シクラメンを贈られたことに感謝して詠まれたものという。
  石段と反対側の坂をあがって来ると、その脇にターザンロープと呼ばれる遊具が、人影もなくひっそりと立っていた。

(06年9月号掲載)  地図


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