小さな散歩道

富士塚公園 (立川市富士見町1丁目)

 

  青梅線西立川駅から歩いて5分余りで、正面入り口の脇に交番がある公園に着いた。周りをビルやオフィスに囲まれ、広さはそれほどないが、掃除が行き届いているのか、空き缶一つ落ちていず、さっぱりと気持ちがよい。
  交番の横には、恐竜のティラノザウルスを形取ったような怪獣の乗り物が据え付けてある。奥には滑り台らしき遊具や鉄棒もあり、ベンチも数台あって、子ども連れで遊ぶには十分のようだ。
  公園は平らだが、やや奥まった所にこんもりと盛り上がった塚のようなものがある。5〜6メートルの高さだろうか。周囲や頂上付近はかなり高い樹木に覆われている。正面には鳥居、その奥には二十数段の石段が見える。登りきった所にこじんまりした祠があった。
  鳥居にかかった額には「浅間神社」の名前。傍らの説明板によると、この塚は「富士塚」とよばれ、頂上に浅間神社がまつられている。江戸時代、富士山の霊験にあやかって現世の利益や病気平癒を願う「富士講」が盛んとなり、成人男子による富士登山が行われたが、女性や子どもは富士山に登れないため、富士に似せた塚を築いて登ったという。しかし、立川(旧柴崎村)に富士講の話は残っていず、塚の頂上から富士がよく見えることからこのように呼ばれたという人もあるのだそうだ。
  試しにてっぺんまで登ってはみたが、今見えるのはビルの壁や住宅の屋根ばかりだった。

(06年3月掲載)  地図


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