あなたの町の朝日新聞店 | 小さな散歩道 目次へ |
立川市の富士見町3丁目交差点から奥多摩街道を昭島方面に向かうと間もなく、左手に「歴史民俗資料館」の案内板が目に付いた。東京都農業試験場本館の真向かいだ。
その案内板に従って、細めの道を下りて行くと右側に、すでに木の葉のほとんどを散らして、冬木立となった雑木林が広がっていた。ケヤキやエノキ、ムクノキだという。
その先には小さいながらも池や湿地がある。ベンチもいくつかある。池には、石で出来たといのような注ぎ口が突き出している。といの根本はがけの中だ。雨などで、水が湧き出た時に池に注ぎ込むのだろう。
一角に立つ「富士見緑地案内図」によると、この緑地は多摩川とほぼ平行した立川崖線の一部で、湧水は段丘の上面から5〜6メートル下の斜面から流出しているとのこと。今では貴重になった湧水を最大限活用するため、水溜りや湿地、流れなど、水辺の環境づくりに配慮してこの緑地を整備したのだそうだ。
案内図の傍らに高さ1メートルほどの句碑があった。
春を待つ路傍の石の一つ吾 水車
どこよりも小学校のさくらかな やまやのぎく
の二句が刻まれている。そばの解説板によれば、お二人とも立川市民俳句会の代表や創設でご尽力された方々とのことだ。
気が付くと、木々のこずえには、頭が黒く、体はグレーのオナガの群れ。「ギャー、ギャー」と、騒がしく飛び回っていた。
(06年2月掲載) 地図
小さな散歩道 目次へ | 前へ | 次へ |