しごと日記
年末年始と折り込みチラシ (2010年12月号掲載)
新聞販売店にとっての年末年始は、一年で一番あわただしい時期になります。それは、新聞のもうひとつの大事な顔「折り込みチラシ」が、ものすごい量になるからです。
チラシは、曜日や新聞の銘柄によって、枚数が違います。一週間で見てみると、月曜日が約15枚、火・水曜日は約10枚、木曜日は約15枚と比較的少なめで、週末になると、金曜日に約25枚、土曜日に約40枚と増え、日曜日には20枚程度に減るという流れがあります。一週間のうちでチラシの最も多い土曜日の配達は結構大変です。また、一年で最もチラシが多いのは元旦で、60〜70枚にもなります。
年末は、29日〜30日の2日間で、30日、大みそか、元旦、正月3日、4日の分までのチラシを作り置きしておきます。通常の時期なら翌日の分しか作りませんが、広告会社や運送会社も正月休みに入ってしまうので、年内にすべて届いてしまうのです。
2日間、従業員総出で、すべて作り上げます。29日から正月の3日までは、夕刊がないので、こういった作業もできるのです。
それにしても、元旦の新聞は、毎年思いますが、「厚くて重い」。チラシが多いのはもちろん、何よりも「増ページ」という別刷り(三が日のテレビ番組などが載っている)の量がすごいのです。いつもの別刷りより厚いのが何種類もあるからです。
「元旦の朝刊は、とんでもない厚さになるんじゃないですか?」と、はじめて年末を経験する新入社員は、圧倒的な量にびっくりしてしまいます。
「こんなに厚いと、バイクにもたくさん積めないし、いったい何往復すれば配達が終わるんだろう」と心配する新入社員のためなのか(?)、元旦の朝刊は、いつもより一時間以上早く販売店に届きます。
新聞販売店は、「折り込みチラシ」と「増ページ」にまみれて年末年始を過ごしています……。
折込チラシ作業の話 (2011年1月号掲載)
『折り込みチラシ』は、読者の皆様がご覧になる日の2日前の深夜から前日の未明にかけて、折り込み広告業者によって販売店に搬送されてきます。こうして、前日の朝にはチラシがすべてそろいます。
午前10時にパートさんが出勤してくると、折り込みの作業が始まります。順番に並んで1枚1枚手作業でチラシを拾っていく、という光景を想像されるかもしれませんが、実際は『折り込み丁合機』という高さ2mほどの機械を使って作業をします。
機械には、最大21種類のチラシをセットできます。21種類分の差込口がついていて、それぞれの口に数百枚ずつ差し込みます。スタートボタンを押すと、機械がチラシを1枚ずつ吸い込んでいって、新聞1部分のチラシを仕上げてくれます。
ただ、紙の質や厚さによって吸い込みの強弱を調整しなければなりません。これが結構大変で、1部分に2枚以上同じチラシが流れ込むことがあります。そのため、チラシの端に針を当てて“流れ込み”を防ぐようにしています。チラシの端に1本引っかいたような跡がつきますが、これが針の跡です。こうして針を当てて細かくチェックしても、2〜3枚流れ込んでしまう場合があります。
また、「同じチラシが何枚も入っている」とか、「チラシの中に紙くずのようなものが混ざっている」というご指摘をいただくことがありますが、これは、針を当てた時に出るチラシの破片です。作業の過程で、できるだけ取り除いていますが、手作業なので、どうしても全部取り除くことができず、破片が混ざってしまうことがあります。
機械でセットしたチラシを1部ずつパートさんが手作業できれいにそろえます。
金曜日や土曜日など40種類以上のチラシがあるときは、この作業を2〜3回繰り返します。出来上がったチラシ2〜3組を手作業で組み合わせると、お届けする『折り込みチラシ』の完成です。チラシの種類が多い日にご覧になると、折ったチラシでひとつにまとめられたものが2〜3組合わさっているのがお分かりいただけると思います。
チラシの量によって、パートさんたちも午前中で作業が終わる日もあれば、夕方までがんばっても終わらない日もあります。その日は、夕方から夜にかけて、配達が終了した社員が作業を引き継ぎます。なにしろ、この作業が終わらないと翌日の配達ができませんから、何を置いても作業を終了することが優先されます。
出来上がった『折り込みチラシ』は、販売店の棚の中で翌日の朝刊配達時まで保管します。翌日、販売店に朝刊が届いたら、1部ずつチラシを入れて皆様のお手元に配達するのです。
今まで何気なく手に取っていた『折り込みチラシ』、特売セールのチェックが終わったら是非作業過程を思い浮かべてみてください。新たな発見があるかもしれません。
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