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百草園駅から川崎街道を西に進み、百草園通りに入る。百草園通りの入口右手にある砂土地蔵尊のお地蔵様にあいさつをして、通りを進み急坂を上っていく。この坂は結構な角度があるので、足腰にそこそこ負担がかかってくる。息を切らせながら急坂を上りきると、梅の名所として知られる「百草園」の入口が見えてきた。向かいにある八幡下公園で一息入れ、通りを少し進むと、百草八幡神社にたどり着いた。
社殿
百草八幡神社の創建年代は不詳だが、源頼義が康平5(1062)年に再興したと伝えられており、かなり古くからある神社のようだ。木製の鳥居をくぐり石段を上っていくと、丘の上には立派な社殿が構えられていた。この社殿は鮮やかな朱色を基調としており、背後の緑とのコントラストがとても美しい。また、社殿前に鎮座する狛犬が一風変わっていて、思わず「…猫かな?」と思ってしまうほど、かわいらしい造りになっていた。
社殿前のベンチに腰を下ろし境内に生い茂る緑を眺めていると、散策の疲れも自然と癒えてくる。高台にある境内は静寂に包まれており、とても心の安らぐスポットであるように感じられた。
社殿右手には奉安庫があり、ここには国指定重要文化財の「銅造阿弥陀如来坐像」が安置されている。鎌倉時代の優品とされる阿弥陀如来坐像は、毎年9月の祭礼時に公開される。その傍らには「松連禅寺之碑」がある。現在、京王百草園となっている場所には、江戸時代に松連寺というお寺があったそうで、それを伝える碑だ。
境内にはスダジイやシラカシ、アラカシなどの木が生い茂っているが、これは多摩丘陵においても珍しいものであり、「百草のシイノキ群」として日野市の天然記念物にも指定されている。この境内では樹齢300〜400年の巨木も含めスダジイの成木が数十株も茂っているそうだ。社殿裏手の山に登ると、力強く根を張ったシイの木が群生しており、その生命力には思わず圧倒されてしまう。裏山の一画には、松連寺の眺望の素晴らしさを詠んだ「松連寺詩碑」が一帯を見守るように建っていた。
(2023年12月掲載) 地図
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