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社殿
南平駅から北野街道に出て、郵便局の手前にある「南平高校入口」の信号を右へ。次の道を左折して、住宅地の中を少し歩いていくと、高台のふもとにある熊野神社の入口に着いた。
熊野神社の創建年代は不詳であるが、少なくとも永禄年間(1558-1570)には現在地に祀られていたと考えられている。神社入口近くにある「おくまん下公園」にあった説明板によると、神社は古くからこの地の鎮守神「おくまんさま」として親しまれてきたそうだ。
この神社はかなりな高台に鎮座しているため、入口からは長い階段が続いている。傍らに「みどりの保護登録樹林」の看板が立った階段を上って高台に着くと、参道脇には多くの高い杉がスーッと伸びており、静かな境内に荘厳な雰囲気を漂わせている。
参道を進んでいくと、緑の中に正面に龍の彫刻が施された古めかしい社殿があった。この社殿は、もともとはこの背後の丘の上にあったそうだが、昭和47年(1972年)の台風により裏山が崩潰する危険があったため、翌年現在地に遷座したという。社殿の傍らには「移築記念碑」や「修復記念碑」が建てられている。
社殿の右奥を見てみると、裏山に向かって1本の階段が伸びていた。上に上ってみると、平地の中に石垣だけが残されており、その中央には小さな祠が建っていた。ここがもともと社殿があった場所なのだろう。緑に包まれたひっそりとした場所だが、かつての姿を少しだけ垣間見られたような気がした。
境内東側の入口近くには、「蚕影山大権現」と「戦没者慰霊之碑」が建っている。養蚕の守護神である「蚕影山大権現」は、かつては南平の個人宅に祀られていたものだそうだ。日野が昔、養蚕業が盛んだったことを物語る。「戦没者慰霊之碑」には、きれいな菊の花がたむけられていた。
熊野神社の裏手には多摩丘陵の地形と樹林を活用した南平丘陵公園が広がっている。お参り後に散策してみるのもよいだろう。
(2018年12月掲載) 地図
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