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(左) 鳥居 (右) 日野宮神社社殿
日野駅を出て、線路沿いの道を北に進み、四ツ谷前公園を抜けると、大通りに出た。「栄町一丁目」の交差点を渡り、都営住宅前の道を入っていくと「日野宮」と書かれた鳥居があった。右手に都営住宅が立ち並ぶ参道を進んでいくと、少し奥まった場所にある日野宮神社に着いた。
日野宮神社の創立年代は不明だが、この地の旧名「四谷」地区の鎮守であり、古くから地域の人々に大切にされてきたそうだ。また、こちらには日野市有形民俗文化財の木造菩薩立像(江戸時代造立)、日野市指定有形文化財の木造阿弥陀如来立像(室町時代造立)と、木造阿弥陀如来座像(江戸時代造立)が安置されている。
なお、この四谷地区には「うなぎを食べない」という習慣があるそうだ。これには、すぐ近くを流れる多摩川が洪水を起こしそうになった時、「うなぎ」が堤防にできた穴を埋めて防いでくれたという説や、木造菩薩立像の使いが「うなぎ」であるからという説があるという。確かに、木造菩薩立像が肩からかけている長い布が「うなぎ」に見えなくもない。もちろん、現代の住人が皆「うなぎ」を食べないわけではないのだろうが、なかなか珍しい習慣があるものだ。
また境内入口近くには、神社や仏像の説明とともに、この周辺で発見されたという「栄町遺跡」について解説した看板も立っていた。
境内正面に建つ社殿は、屋根の側面と柱が朱色に塗られており、「日野宮神社」と書かれた5つの提灯が掲げられている。白い壁面に朱色がよく映えており、その前には提灯が並んでいるため、どことなくお祭りの時の雰囲気を感じさせる社殿だ。
外周部には「ウラジロガシ」などの高い木々が伸びていて、強い日差しの中、「やけにセミの声が聞こえるな」と思っていたら、2匹のセミが木にとまっていた。
社殿右手には境内社や石碑があり、そこから境内の裏手に回ってみると、狭いスペースの中に滑り台が置かれていた。周囲の草も伸びており、現在はあまり使われているとは思えないが、かつてはここで子どもたちが遊んでいたのかもしれない。
また、参道脇には整備された公園があった。こちらでは藤棚が青々と茂っていて、藤棚下のベンチに日陰を作ってくれていた。
(2018年9月掲載) 地図
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