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(左) 大小50鉢を展示している盆栽苑 (右) 作業棟(展示用の床の間付き)
作業棟で推定樹齢約90年の五葉松の手入れをする鈴木さん
51年のキャリアをもつ鈴木英男さん。
皇居など日本屈指の名木の管理に携わる職人
推定樹齢約200年以上の真柏
作業棟に展示しているミニ盆栽(ヤマモミジ)
立川市と昭島市にまたがる広大な昭和記念公園。同公園北側には情緒ある回遊式の日本庭園があり、その一角には盆栽苑がある。この盆栽苑は伝統文化の普及と発展のために2004年、国内初の国営盆栽施設としてオープンした。日本盆栽協会からの寄贈品を中心に約50鉢を常時展示している。
池のほとりにある庭門をくぐると、左の壁面に盆栽の楽しみ方を初心者にも分かりやすく紹介するパネルが並ぶエントランスゾーンがある。右には昔の日本家屋風の造りをした作業場があり、熟練の職人が実際に盆栽を手入れする姿を見ることができる。奥の棚には手のひらに乗るような可憐なミニ盆栽も展示されており、これを見ると見学者も「気軽に盆栽を作れそう」と思えてくる。
同公園盆栽苑リーダー・鈴木英男さん(69)は「盆栽は『水かけ5年』といわれるくらいで、水の管理が一番大事。水を多くやりすぎても、少なすぎてもいけないんですね。また、葉の選定をする際には決断力も必要です」と話す。「盆栽にちゃんと気を配っていれば、必ず盆栽は応えてくれます。だから根気も要りますね」。
苑内を進んでいくと、盆栽の種類や育て方を紹介する学習ゾーンがあり、趣きある古木を展示した展示ゾーンがある。丹念に手を入れられた盆栽には、それぞれに違った味わいがあり、来訪者たちの情感に訴えかけてくるようでもあった。盆栽は完成することのない「生きた芸術」といわれている。
「木との対話を通じて、独特の侘び、寂びを楽しんでほしい」と鈴木さん。なかなかこの道の奥深さを感じさせられた。
盆栽苑のある日本庭園は、砂川口から徒歩15分、西立川口から徒歩20分と距離がある。有料になるが園内を巡回するパークトレイン(日本庭園前下車)やレンタサイクルを利用すると便利だ。
■国営昭和記念公園
開園時間/9:30〜17:00
入園料/15歳以上410円、65歳以上210円、小・中学生80円
小学生未満は無料
TEL/042-528-1751(電話自動応答システム)
■盆栽苑
時間/9:30〜閉園30分前
入場料/無料 (別途昭和記念公園の入園料は必要)
(2016年10月掲載) 地図
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