あなたの町の朝日新聞店 | 小さな散歩道 目次へ |
(左) 広い芝生 (右) 整備された庭園には古時計が似合う
多摩都市モノレールの多摩センター駅を降り、山王下方面の出口を出る。ここから駅北側を流れる乞田川(こったがわ)沿いを進み、高岸公園を抜けて、京王相模原線の高架をくぐると「中沢池公園通り」の表示板がある。この道をしばらく進むと、雑木林に囲まれた中沢池公園にたどり着いた。駅からの距離は徒歩20分ほどだろうか。
入口を入ると、傾斜地に造られたきれいな芝生広場があり、ベンチから広がる緑を見下ろすのはなかなか爽快だ。また、公園周辺には豊かな自然が残されているためか、野鳥のさえずりが途切れることなく耳に入ってくる。近くには、趣きある東屋も設置されていた。
趣のあるあずまや
散策路を進んでいくと、木製の大きな時計塔が建っていた。傍らでは石垣の中を小川が流れており、一帯は庭園のような雰囲気だ。また、園内中央のこの辺りには花菖蒲田があり、5月下旬から6月の花期には約3,000本の花菖蒲が咲き誇り、多くの人で賑わう。
時計塔の先には水辺があり、その奥には水車小屋があった。水車手前には緩やかなアーチ橋が架けられており、周辺に茂る高い木々とも相まって、とてもいい風情を醸し出している。訪れた夕暮れ時には、バシャバシャと音を立てて水車が勢いよく回っていた。また、近くにはデッキが設けられており、湿生植物などが茂る水辺を散策できるようにもなっている。
水車小屋裏の階段を上ると園内最深部にある中沢池が見えてきた。この池は、もともとは寛文年間(1661年〜1672年)に領主・土屋但馬守のもと、落合の領民により造られた農耕用の溜池だったそうだ。
この池は釣りを楽しめることでも知られており、この日も一心に釣り糸を垂らす人の姿があった。池を覗くと、時折大きな魚たちが姿を見せてくれた。高い緑に囲まれながら、水面をぼんやり眺めていると、なんとものどかな気分になってくる。近くの芝生に目をやると、つがいの鴨が仲良くエサをついばんでいた。
(2016年8月掲載) 地図
小さな散歩道 目次へ | 前へ | 次へ |