小さな散歩道

眞照寺(しんしょうじ)  (日野市落川)

 
(左) 元禄時代に作られた山門      (右) 本堂           


六地蔵

裏山の竹林

散策路

 百草園駅で下車し、川崎街道を東へ少し進むと、右手に「真照寺入口」と書かれた案内板がある。 この案内板から坂道を登ると、真言宗智山派眞照寺が見えてきた。日野七福神(恵比寿天)の寺としても知られる。
  開基は11世紀始めころというから約1000年前になる。奈良時代から平安時代にかけてこの落川地区には大集落があったことが遺跡の発掘調査から明らかになっている。 その後、安土・桃山時代に同寺は法印善意によって中興されている。ご本尊は大日如来で元禄9年(1696)に作られた。

  元禄15年に建立されたという趣きのある山門をくぐると、参道には品格のある六地蔵が並んでいた。 境内は緑が美しく、植栽がよく整備されていて、庭園のような雰囲気だ。本堂前には弘法大師像や聖観音像が建っており、その背後にはあじさいが鮮やかに咲いていた。 本堂左手には観音堂があり、手前には石造りの池がある。水面を覗き込むと、赤い金魚たちが涼しげに泳いでいた。

  本堂左手と裏手は墓地で、その先の裏山は竹林になっていて、空を覆いつくさんばかりに高く茂ったその姿は圧巻というしかない。 また、足元を見ると「たけのこ観察・わかくさ幼稚園」との看板があった。こちらは寺立の日野わかくさ幼稚園によるものだ。 そもそもこの地は江戸時代末期には寺子屋が置かれ、明治時代になって小学校が置かれるなど、地域の教育にゆかりのあるお寺。

  左手の裏山から山の頂上までのびている散策路を登る。ほぼ手付かずの自然の中をウグイスの鳴き声を聞きながら歩く。 また、山の中ほどの視界が開けるポイントでは、「天気がよければここからスカイツリーが見えます」という看板があった。 その方向を見やると空は少し曇っていてスカイツリーは見えなかった。

  頂上付近からしばらく平地を進み、巨大な鉄塔を超えると、一気に視界が開け、市内が一望できた。大変気持ちが良い。 この先は眞照寺の私有地となっており通り抜けはできないので、来た道を下山することになる。
  なお、同寺の丘稜や竹林に自生している環境省の絶滅危惧種に指定されている希少植物「多摩の寒葵(カンアオイ)」を探すことが出来なかったのが残念だ。

(2015年7月掲載)  地図


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