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多摩モノレール高幡不動駅を新井方面に出て、そのままモノレール沿いに10分ほど進むと、左手に自然溢れる向島用水親水路が見えてくる。
日野市には多摩川や浅川から取り入れた用水路が網の目のように張り巡されており、向島用水路もその一つだ。
この親水路は、かつて農業用水として使われていた水路を全長約500mの散策路として整備したものだ。
この用水を取水している浅川に出てみると、一気に視界が開けて、とても爽快な気分だ。右手には「万願寺歩道橋」(愛称「ふれあい橋」)が間近に見える。この橋は中央の高い塔から両岸にケーブルが伸びており、遠目にも存在感のある橋だ。また橋の中央部はちょっとした展望広場のようになっている。川岸は親水広場として整備されており、この日は放課後の高校生が語らう姿などが見られた。
親水路の始点は、潤徳小学校の裏の辺り。この辺りは水際まで降りて行くこともできる。また傍らには林の中に散策路が伸びる向島緑地がある。
親水路を進んでいくと、小学校裏手に小さな池が設けられている。こちらはビオトープとしての位置付けのようで、子どもたちが一心に水面を凝視している様子が印象的だった。近くの小さなレンガ橋から水路を覗くと、餌をやる人が多いのか、無数の鯉が口を開けて集っていた。
この先には木製の風情ある東屋が設えられている。緑に包まれながら静かに流れる水路を眺めていると、時の経つのを忘れてしまいそうだ。さらに先には水車小屋があり、実際に水車がガタゴトと音を立てて回っている。しぶきを上げて回るその姿は近くで見るとなかなか迫力がある。
この先で親水路は終わってしまうが、用水路はまだ続いている。新井橋の交差点を渡り、住宅地を抜けると、水路はコミュニティ・ガーデン「せせらぎ農園」の中を流れていく。この辺りは石垣ではなく、素掘りの水路になっている。広い畑の中で大きな弧を描く水路をたどっていると、なんだかとても懐かしい気持ちになった。
(2014年5月掲載)
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