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高尾駅北口から「小仏」行きのバスに乗り「小名路」で下車。少し戻り両界橋を渡り、線路沿いに伸びる細い路地を入っていくと、なんとも、時代から取り残されたような古めかしいレンガ造りのトンネルが現れた。 中央線の高架下にひっそりと佇むこのトンネルは、中央線の前身である甲武鉄道の八王子〜上野原間が開業した明治時代に掘られたものらしい。横幅は大人が3人やっと通れるほどの狭さで、高さもそれほどでもない。車の通行はできない歩行者用のトンネルで、下には用水路が流れている。
トンネルの先には民家が数軒あり、傍らを南浅川が流れている。大きな岩塊が横たわる川岸と用水路の間には細い道があり、そこを進むと石段を勢いよく流れる滝の辺りまで進むことができる。勢いよく流れる水の音を聞きながら、上流部を見渡すと、穏やかな水面が陽光に照らされて輝いていた。ふと上を見ると、紅葉の色づいた山肌を走る京王高尾線を走る車両が見えた。この辺りは小渓谷としても知られていて、なかなかの絶景スポットだが、道は細く、手すりも柵も何もないので、充分に気をつけてほしい。
両界橋から中央線の走る第一浅川架道橋を見ると、高尾駅側の片側の橋脚だけがレンガ造りであることに気づく。これは、1962年(昭和37年)に高尾〜小仏間の複線が開通した際に、片側にコンクリートを継ぎ足して複線化したためだとか。
また上流部の右側には、小説家、中里介山の「大菩薩峠」に登場した、趣きある旅館「花屋」も目にすることができる。
トンネルを出て左手の線路と民家の軒先の間を進むと、神明神社の入口に。階段を登りきった山の中ほどに鎮座している小さな神社だった。なお、この辺りからは山を背に走る中央線の姿がよく見える。
(2013年12月掲載) 地図
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