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新しい住宅地に現れる、こんもりとした一山。「みなみ野毘沙門の丘緑地」は、遠くからでも陸の孤島のように目立つ。
八王子みなみ野駅から、横浜線の西側の、線路を見下ろす線路沿いの道を南へ徒歩約5分。
緑地の中心にそびえる巨木が宇津貫毘沙門天のスダジイだ。
竹林に囲まれているために、外周からはスダジイの姿が判然としない。丘に登って見ることにした。
ふもとのほこらの脇に、鳥居をくぐる76段の急階段がある。踏み外さないように気を付けながら上ると、
40段目辺りからうっそうとした茂みに入る。風が木を揺らす以外の音がなく、静寂に包まれる。
スダジイが作る木陰で、頂上は薄暗く感じるほどだ。樹高約20メートル。
宇津貫毘沙門天が万治2(1659)年に勧請されたという棟札が残っていることから、スダジイの樹齢はおよそ300年と考えられている。
八王子市の天然記念物に指定されている。
スダジイはブナ科の常緑樹で、温暖な地域に生育する。八王子市内では高尾山や由木地区で見られるが、その他の地区では珍しいそうだ。
丘を囲むように住宅が迫る。回りこむように緩やかな階段も設置され、緑地もきれいに整備されている。
木陰から外れると眺めがいい。線路の東側の宅地や緑地が一望できる。
現在の町名のみなみ野は、周辺が宅地造成されてからのもので、かつては宇津貫町と呼ばれていた。
宇津貫の地名は、この毘沙門天や徒歩で10分ほど離れた宇津貫公園などに残る。同公園には雑木林があり、
造成前の里山のようだった宇津貫の姿をとどめている。
(2010年10月掲載) 地図
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