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京王線百草駅から川崎街道や住宅街の急坂を歩き、百草園入り口を過ぎると、右手に石段が見えた。一番手前の石段を上り切った所に木の鳥居が立ち、その奥にさらに石段がある。その向こうに見えるのが本殿らしい。
最後の石段を上り終え、一対の狛犬の間を通り過ぎると、柱や窓枠、横木が朱色をした社殿が現れた。白壁や黄色の軒先、がっちりした黒い扉と鮮やかなコントラストだ。その手前両脇に、一対の小さな動物の石像がある。耳がぴんと立っていて可愛い犬のようでもあるが、尻尾は太くて長く、狐のようにも見える。一風変わった狛犬なのかもしれない。
本殿の右手にこれまた朱色の壁で、黒い屋根のお堂が建っていた。説明板に「重要文化財(彫刻)銅像 阿弥陀如来坐像 日野市教育委員会」と書いてあった。今、中は見えないが、「素朴で鎌倉時代特有の力強さと親しみやすさが感じられる優品」だそうだ。
本殿裏手の山に登ると、スダジイの大木が原生林のように生い茂っている。そのひっそりした静けさを破るのは、時折吹く風に揺れる枝葉の音だけだった。
(08年3月掲載) 地図
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