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高尾山ケーブルカーの終点、高尾山駅から歩いて2分ほど、見晴らしのよい「かすみ台」や「さる園」を過ぎると、道の左側に大きな杉の木が現れた。2年ほど前にも訪れたことがあるが、ちょっと様子が違うようだ。
その時は、「天然記念物 蛸杉」の文字が黒々と書かれた立て札があったが、今は見当たらない。しかし何といっても違うのは、杉の木のむき出しになった巨大な根っこの前に、フェンスが張られていることだ。フェンスに張り紙があって、
「たこ杉からのお願い
1.根っこの上にのぼらないでください。
2.さわらないでください」
と書かれていた。
大小さまざまな石碑があるのは以前と同じだ。そのうちの一つ、青緑色をした石碑に「天狗道開きの杉(蛸杉)」とある。碑文によると、昔この大杉の大きな根のため、山を開き、道を作るのに大変困って、切り倒すことにした。すると、不思議なことに一夜のうちに根はたわめられて、何なく道を通すことが出来た。人々は天狗様の御神力のお陰だろうとうわさした、とのことだ。
その名の由来となった根は太さ50〜60センチ、地上にむき出しで絡み合い、あたかものたうち回る大ダコの足を思わせる。しかし以前は赤くテカテカと光っていた根っこが、何となくつやがない。ひっきりなしに通る観光客も「前はつやつやしていたのに。きっと皆が触りすぎたのよ」と話し合っていた。
(08年1月掲載) 地図
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