あなたの町の朝日新聞店 | 小さな散歩道 目次へ |
師走に入って間もないある日、京王線の駅から両側に商店の並ぶ参道を抜けて、もみじの散り敷く高幡不動尊へと足を運んだ。
仁王門をくぐり、正面の不動堂を見ながら、左手の銅像の前へと進む。鉢巻を締め、大小の刀を腰に差し、すっくと立つ若者はご存じ、新選組副長の土方歳三だ。
青銅製の像は台座も含めると高さ4〜5メートル、おなじみの羽織の袖の先や、刀の柄などには金箔のような輝きがうっすら残っている。
日本の行く先を見守るかのように、その目は真っすぐ遠くを見据えている。
台座の横には、銅像建立へのいきさつを刻んだ青銅の板がはめ込んであった。金文字を浮かび上がらせた銘文によると、
多摩の風土に育まれ、義に生き、節に殉じた歳三の三十五年の生涯は、没後百数十年を経た今も男の美学として、語り継がれている ……日野ロータリークラブ一同は創立30周年記念事業として出陣姿の歳三像を建立し、その事績を後世に伝えようとした
とあった。
銅像のすぐ隣には青緑色をしたやや古い石碑が立っていた。字は薄れたのか簡単には読めそうになかったが、そばの説明板には「近藤勇、土方歳三顕彰碑」とあり、
「幕末動乱のうちに大きな足跡を残した二人の殉節を顕彰し、冥福を祈るため、明治21年に竣工した」と記されていた。
(2006年1月掲載) 地図
小さな散歩道 目次へ | 前へ | 次へ |