小さな散歩道

五十嵐健治記念 洗濯資料館 (大田区下丸子2丁目)

洗濯の歴史がわかる館内 下丸子駅から徒歩7分。全国にチェーンを持つクリーニング店、白洋舎東京支店(多摩川工場)の3階。洗濯の歴史がわかる資料館があるというので行ってみた。あらかじめ、受付の洗濯科学研究所に入館希望の電話を入れておく。
  入口のドアの左に、現在の家庭洗濯機の前身となったアメリカの攪拌(かくはん)式家庭洗濯機や、手動洗濯機が並んでいた。構造がシンプルなので、機械の原理が分かり面白い。

洗濯板とザラ板手回し脱水機お得意先回りに使われた箱車(レプリカ)

いろいろなアイロンがいっぱい.火のし  入館してすぐのところには白洋舎創業者で日本のドライクリーニングの創始者である五十嵐健治氏(1877〜1972年)の遺品や著書などが展示されている。
  白洋舎の創業は1906年(明治39年)。翌1907年(明治40年)にはわが国初のドライクリーニングに着手した。かつて一般に洗濯用洗剤として用いられた植物や、洗濯板、洗い桶、そして集配用具などを通して、洗濯やクリーニング業の歴史がわかる。洗濯物を煮洗いした煮釜、試作品の卓上シャツプレス機など、貴重な器具が展示されている。特にザラ板(洗濯板)と洗い桶は明治中頃から登場し、大正時代までは嫁入り道具の一つだったとは驚き。得意先回りに使われていた箱車(レプリカ)も趣がある。炭火アイロンの展示も充実している。炭火アイロンは江戸時代中頃より使われるようになり、金属製の容器に炭火を入れ、この熱と容器の重みで布のシワを伸ばすもので、「火のし」という。和服の選択法である洗張(あらいばり)の一種、伸子(しんし)張り、張り板も展示している。
  申し込みは不要だが、当日、入り口の守衛所で資料館見学の旨をお伝え下さい。入館無料。

※なお、信仰の篤いクリスチャンであった五十嵐健治の半生は三浦綾子の小説「夕あり朝あり」に記されている。

■洗濯科学研究所 (白洋舎東京支店内 大田区下丸子2-11-1)
問合せ/TEL:03-3759-1336
開館/10:00〜17:00
休館日/土、日曜、祝日、年末年始。他に臨時休館あり。

(2011年8月掲載)  地図


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