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東急池上線の御嶽山駅から商店街を通って大型スーパーの角を曲がると、「御嶽神社」と彫られた巨大な石碑が目に飛び込んで来た。青々と茂る大木に、まるで覆われるように立つ石鳥居には、しめ縄が飾られている。駅からわずか1分、商店街と住宅街に囲まれた一角に、突然現れたまさに異次元の空間だ。
鳥居をくぐって参道に入ると、桜やイチョウの並木が真夏の陽光を遮り、吹き抜けるさわやかな風が暑さを忘れさせてくれる。本殿の手前に、狛犬にしてはちょっとやせ気味の犬のような石像が左右に一対。2匹とも口に何かをくわえている。お稲荷さんの狐とはまったく違う姿。耳元まで裂けた大きな口。神社は木曽の御嶽神社にゆかりがあるそうだから、山岳信仰であがめられているという狼なのだろうか。ちょっと謎めいて、興味深い。
本殿の正面へ近づいてみる。軒下には孔雀の彫刻、そして横木には竜の彫刻が施されており、いずれも精巧な出来栄えの木彫だ。
その右手に、20メートルはありそうな松の木がそびえていた。根元近くに「御神木(黒松)夫婦松」という看板が立っている。「縁結び子宝長寿祈願」とあり、樹齢400年にもなるそうだ。ご利益通り?、てっぺんには「年」を感じさせないほど葉が生い茂っていた。
本殿の横を通って裏手に回った。何とそこにも、物語を題材にしたのだろうか、細かな彫刻がしっかりと施されていた。建立された当時は、さぞ目を引くような素晴らしいものだったろうと思われる豪華さだった。
(07年8月掲載) 地図
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