しごと日記Q&A編

  新しく仕事を始める人が多い季節ですね。配達用バイクの運転はどうやって覚えていくんですか?
(2011年3〜4月号掲載)

  ほとんどの人が自転車やスクーターには乗ったことはあっても、新聞配達用のバイクに乗ったことはないため、全員が運転の練習から始めます。 
  当ASAでは、原付免許で乗れる50ccのホンダ「プレスカブ」を主に使っています。耐久性に優れ、低燃費でエンジン音が比較的静かだからです。
  新人君には先輩から次のような説明をします。「このバイクは、スクーターとは違って、変速するときは足でギアを変える。メインスタンド以外に一日何百回も乗り降りするのに耐えられる強力スタンドが左側についている。左手のクラッチレバーはない。配達に使う順路帳を左手で持つためだ。ウインカーは右手側についている。前後で200部を超える新聞を積むため、大型の前カゴと新聞の大きさに合わせた荷台がついている。前のライトがハンドル中央以外に前カゴ先端についているのは、前カゴに新聞をたくさん積んでも正面を照らせるためだ。新聞配達は頻繁に停止・発進を繰り返すので、大き目のバッテリーもついている。今言った事が特徴だ」。
  ……慣れた人が聞けばわかりますが、新人君にはさっぱりわかりません。
  「配達も熟練してくると、バイクを止める直前に左手で前カゴや後ろの荷台から新聞を抜き取り、ポストに新聞を入れることができるようになってくる。新聞配達人としての『技』のひとつだ」と先輩。
  とりあえず「へえー、すごいですね」と返事をした新人君が、運転の練習をしていく様子を次回紹介します。

▲上へ

 (その2) 配達用の変速ギアがついているバイクは、オートマチックのスクーターとは勝手が違い、覚えていくのも時間がかかります。バイク練習を始める新人君は、だいたい次のような感じです。
  「おはようございます!」
  前日に支給されたASAのユニフォームに革靴姿で出勤してきた新人君。
  「おはよう。何だ、スニーカー持ってないのか? バイクの変速ギアは足で操作するから、革靴だと擦り切れてボロボロになってしまう。スニーカーを買いに行ってからバイクの練習だ」と先輩。
  「まずはエンジンのかけ方だ」と、バイクにまたがりながら説明を始めた先輩の横で、いきなり「ピィ!」と大きな音が鳴り、二人ともびっくり。
  「すいません。エンジンスイッチかと思ったらクラクションでした……」。ハンドル付近についているボタンがエンジンのスターターだと思い、新人君が押してしまったのです。
  「人の話は最後までよく聞くように。このバイクは、左足で支えて、右足でレバーをキックしてエンジンをかけるんだ」と先輩に言われたとおりやってみる新人君ですが、キックをかけようとして空振りし、そのままバランスをくずしてバイクごと倒れてしまいました。
  何とか近くの練習用の交通量の少ない道路まで行き、スピードにあわせて足でギアチェンジをしていきますが、ギアを入れるだびに足元を見てしまい、気づいたら木にぶつかっていました。
  慣れてきたら今度は前カゴにたくさん新聞を積んで走ってみますが、ハンドルが重くてなかなか思うようにバランスがとれません。
  このように、ひたすら練習をを繰り返していきますが、バイクの運転に慣れるだけで1週間くらいかかる社員もいます。配達をひとりでできるようになるには、2週間くらいかかります。

▲上へ


目次へ