しごと日記Q&A
(その1)
朝刊の配達は、トラックで運ばれてきた新聞一部ずつにチラシを入れて、午前3時すぎに店を出発します。
真っ暗闇で表札もポストの色もよくわからない状態で配達が始まります。
そんな時でも、「順路帳」という、いわば新聞屋さんの虎の巻があるから安心です。
B5サイズを縦に半分切った手帳のようなもの(昔なつかしい「大福帳」をご想像下さい)で、
これで何百軒という読者宅に新聞を間違いなく配ることができるのです。
中には、読者名と新聞名、読者宅へたどり着くために「順路記号」というものが書いてありますが、
丁目・地番は一切書かれていません。この記号を読み解きながら、配達先をたどっているのです。
たとえば、イラストのように、一軒目の佐藤さんが朝日新聞、佐藤さんの「トナリ」の林さんが朝日新聞と日刊スポーツ、
林さんの「ハスムカイ」の山田さんが東京新聞という具合に、20種類以上の記号を見ながら、新聞を届けていくのです。
前のお宅から、記号にしたがって進んでいけば、必ず次のお宅に行き当たるという仕組みです。
当然、間違った記号にしたがっていけば、とんでもないところに行き着いてしまいますし、
引っ越しや留守止めなどによる配達先の変更が常に更新されていなければ、正確な配達もできなくなってしまいます。
各エリアの担当者は、毎日配達するうちに自然と暗記していきますが、
担当者が休みの日に配る「代配」の社員や覚えたての新人は、順路帳が欠かせません。
担当者も、引っ越しなどでお客様の入れ替わりが多い時期や長期の留守止めが増える時期には順路帳を見ながら配達しています。
入社して最初に習うのも順路記号の読み方で、「順路帳に始まり順路帳に終わる」といわれるほど、新聞屋さんにとっては必需品です。
(その2) 前回は、新聞の配達には欠かせない「順路帳」を記号の意味も含めて紹介しました。今回は、「順路帳」に書いてある「ポスト」の話です。
新人が配達できるようになるためには、前回紹介した「順路帳」に書かれている読者名・新聞名・順路記号などを見て、
1軒目の家から順番に最後の家までをバイクで回ります。新聞を配らずにバイクを運転して家の表札を確認している配達員の姿を見かけた方もいるかと思います。
これを何回も繰り返して、「順路帳」をみるだけで次の家に到着できるようにしていきます。
数十回も繰り返すと、やっと配達する家を順番にスムーズに回れるようになりますが、家の順番だけ覚えても配達はできません。
一番大切なのは、新聞を入れる場所を覚えることです。そのために、「順路帳」には、新聞を入れるポストの種類や場所も記入されているのです。
たとえば、イラストの1軒目のように、外壁についているポストに新聞を入れる場合は「カベP」、
2軒目の「AP」は、アメリカンポストといって、洋画を見ると、アメリカの広い庭の道路に面した場所に立っている郵便ポストのようなタイプのことです。
また、集合住宅ではドアポストがついていない場合があります。ドアノブが新聞を挟めるタイプの場合は新聞をうまく差し込みますが、
そうでない場合は、ガス栓の上に置いたり、洗濯機の中に入れたり、窓の柵に挟むこともあります。
このように、配達は、家を覚えるというよりも、その家のポストの形や場所を覚えていきます。
そのため、覚えたての新人は、お客様名よりも「あの茶色のポストのお客様」と言うと、わかることも多いです。
こういった記号が正確に記入されていないと、数種類のポストがある家では、真っ暗闇のなかで、探し回ってしまうことになります。
このようなことがないように、細かいことを繰り返し覚えていき、一人前の配達員となっていくのです。
(その3) 前号と前々号で、新聞配達の「虎の巻」である「順路帳」には、読者名・新聞名・順路記号・ポストの種類や場所などが書かれていて、それらを読み解きながら配達していることを紹介しました。好評??のため、今月も「順路帳」にまつわる話を紹介します。
各エリアの担当者は、毎日配達するうちに自然と暗記していき、ほとんど「順路帳」を見ないで配達できるようになりますが、覚えたての新人や担当者が休みの日に配る担当の社員は、「順路帳」が欠かせません(担当者も、引っ越しなどでお客様の入れ替わりが多い時期や長期の留守止めが増える時期は順路帳を見ながら配達します)。
配達場所を暗記している地区担当者も当ASAでは、月に6回休日をとりますが、その日は「代配」と呼ばれるベテラン社員が配達するので、「順路帳」を使います。次の家への道順を示す順路記号・新聞名・ポストの種類を瞬時に読み取り、配達をします。経験は長いので、家さえわかれば、ポストの位置は、ほとんど探り当てることができます。
玄関のポストに入れる場合は順路帳に「DP」(ドアポスト)と記入しますが、これが書かれていないと「カベP」(外壁に面したポスト)に入れることになります。「カベP」と書かれていても、ポストが草木に隠れているような場合は、探し回ることになり、かなり焦ります。「DP」には、新聞をポストの中に「完全に落とし込む」指定と「落とし込まない」指定(あまり奥まで入れると新聞の厚みで出しづらいポストがある)があります。こういった指定が「順路帳」に書かれていないと、その場で判断することになり、お客様にご迷惑をかけてしまうこともあります。
また、金曜日や土曜日のチラシの厚い時は、「カベP」にキッチリ入れると、新聞の重みでポストの裏のフタから落ちてしまう場合があります。ちょうど、次の家へ……とバイクをスタートしたときに「パサッ」という音で気付きます。そういうことが予想されるとき、ベテラン社員の「代配」は、ポストの裏側から入れたりしています。こういったことは「順路帳」には書かれていませんが、経験を積むことにより、ちょっとした工夫と気遣いを覚えていきます。
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