小さな散歩道

すずかけ三兄弟(立川市緑町)


倒木を防ぐ鉄骨

銅人形・「3本のプラタナスの木としあわせな三楽士」
(2021年設置)

赤川さんの作品「風に向かって」
(立川駅北口のぺディストリアンデッキに2000年設置)


たちかわ中央公園信号に隣接してすずかけ三兄弟はある

 多摩モノレールの立川北駅から、モノレールの高架下に伸びるサンサンロードを10分ほど進む。サンサンロード先の「たちかわ中央公園」の信号を渡ると、目の前には鉄骨に守られた3本の木が伸びる一画があった。この3本のスズカケノキ(学名・プラタナス)は、通称「すずかけ三兄弟」と呼ばれている。

 このあたり一帯は、かつては米軍の立川基地であった。この3本のスズカケノキは戦後、日米友好の証しとして植えられたものだという。1977年、基地は返還されたが、20年後の1999年、周辺の再開発による伐採計画が持ち上がった。だが、「長年、街の歴史を見続けてきた木を残してほしい」という地域住民や芸術家の保存運動によって、3本の木は無事に残されることになった。

 3本の木が植えられている一画には、根を守るためだろうか、地面にはシートが張られていた。近接する3本のスズカケノキは、地面からたくましく伸びているように見えるが、幹は倒木を防ぐ鉄のフレームに四方を囲われている。かなり窮屈そうだが、枝はフレームを避けながら力強く伸び、葉も青々と茂っていた。なお、このフレームはかなり大きな構造物であり、遠目には何のために設置されているのかが分かりにくい。地域住民の声によって残されたという経緯について、周囲に案内板が設置されていないのは少々残念だ。

 「すずかけ三兄弟」の斜め向かいにある立川ステージガーデンの北側には、銅人形「3本のプラタナスの木としあわせな三楽士」が設置されている。
  これは、かつて保存運動に取り組んだ地元の銅板造形作家・赤川政由さんの作品だ。スズカケノキが市民運動によって保存された歴史をモチーフにしている。優雅に木管楽器(オーボエ、クラリネット、ファゴット)を奏でている3人の奏者を、プラタナスの精霊に見立てているという。

 この銅人形は近くで見ると独特の味わいがあり、夕陽に照らされた銅の色が鮮やかに映えていた。
 左側のオーボエ奏者は、斜め向かいにたたずむ「すずかけ三兄弟」の方角を向いており、そちらに向けて音を奏でているようでもあった。

(2024年8月掲載)


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