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(左) 八清ロータリー (右) 八清ロータリーの池
リニューアルし、現代的な駅舎になった東中神駅を南口に出ると、駅前ロータリーの一角に親子と思われる2頭の鯨の石像があった。看板には「昭島くじら・あきちゃん・たまちゃん」と書かれている。これは「くじらの街・昭島」のシンボルとして造られたものだそうだ。微笑ましい石像の先には、大きな鯨の看板が印象的な商店街「くじらロード」が広がっている。
商店街を抜けて江戸街道を渡り、南へしばらく進んでいくと、8本の道路が集まった円形ロータリーが突然現れる。これが「八清(はっせい)ロータリー」だ。ロータリーの一角には「八清の由来」と書かれた石碑がある。
その説明によると、昭和13(1938)年に作られた軍需工場(名古屋造兵廠立川製作所)の拡張により、早急な従業員住宅建設の必要に迫られ、当時一面の桑畑だった当地を買収し、その建設に着手した。昭和16(1941)年秋までには、約500戸の住宅の他に集会所や市場、映画館、浴場などの福利施設が誕生。一帯はロータリーを中心に放射線状に区画された一大住宅地だったそうだ。
「八清」の名は、この工事を進めた八日市屋清太郎の名に由来するものだ。「八清」とは変わった名前だな、と思っていたが、人名から付けられたものだったのだ。
ロータリー中心部の植え込みの中には水が張ってあり、そこからは街路灯が伸びている。外周部にはベンチの置かれた一角があり、その手前にはきれいな花壇が設けられていた。こちらで一息つきながら、あらゆる方向からやってきて、クルリと回っては去っていく車を眺めているのも悪くない。
ロータリー近くの八清通りに広がる商店街は、シャッターが閉まった店舗も多いものの、昭和にタイムスリップしたようなレトロな雰囲気を醸し出している。ロータリー完成当時とはだいぶ様子も変わってしまったのだろうが、市内屈指の住宅商店街だったという「八清」の面影が多少残されているような気がした。
ロータリーから少し東に進むと、八清公園があった。中央には運動広場があり、外周部にはブランコやジャングルジム、ゾウの形をした小型滑り台など、児童向けの遊具も多く置かれている。広々としたなかなか気持ちのいい公園であり、この日はサッカーをする少年たちや、小さな子どもを遊ばせるお母さんたちの姿が見受けられた。
(2018年7月掲載) 地図
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