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拝島自然公園の芝生広場。左奥に拝島橋が見える
立川駅北口から「拝島営業所」または「拝島駅」行きのバスに乗って、「拝島大師」で下車。ここから国道16号沿いに多摩川方面に歩いていくと、拝島橋のたもとに着く。橋近くにある児童遊園には、「拝島の渡し」と書かれた金属板があった。説明によると、かつて拝島橋の上流100メートルほどのところに「拝島の渡し」と呼ばれる日光街道の渡し場があったそうだ。この渡しは、江戸時代から上州方面と八王子を結ぶ重要な街道として機能していたが、鉄道や道路網の整備が進み、昭和20年頃にはほとんど利用されなくなったという。
児童遊園を抜けると、堤防下にきれいな芝生が広がる拝島自然公園に着いた。この河川敷を利用した芝生広場はとても広々としていて、なかなか気持ちがいい。
広場の上流側は、様々な木々が伸びて緑豊かなエリアになっている。その中の高い木が生えた一角には、「多摩川のコゴメヤナギ」と書かれた看板が立っていた。それによると「コゴメヤナギは豪雨や台風による増水で上流から流され、自然増殖したもの」とあり、激流にも耐えられる大変珍しい樹木のひとつのようだ。
この地区にはコゴメヤナギとイヌコリヤナギが生殖しており、これらは堤防近辺のヤナギ林とともに多摩川唯一のものであり、植物学上も貴重な地区であるという。木々の中には枝が触手のように伸びた木や、根や幹が複雑な形をしたものも多く、なかなか面白い表情を見せてくれる一帯だ。
そこから河川側に向かうと、コンロが立ち並ぶバーベキュー場があり、その隣も広場になっていて、地元の子どもたちが駆け回っていた。
この近くから林の中にけもの道が伸びていたので、進んでみた。けもの道には、流れ着いた流木らしきものも見受けられ、ちょっとうっそうとした雰囲気である。けもの道を抜けると一気に視界が開け、多摩川のほとりに出た。この辺りの川の流れは澄んでいて、静寂の中を流れるせせらぎの音も心地よい。対岸には緑が広がり、下流側には拝島橋、上流側には赤いアーチが印象的な多摩川横断水道橋が見える。
帰り際、拝島橋を訪れてみると、柱には渡し舟をかたどったモニュメントが乗せられていた。
(2017年12月掲載) 地図
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