小さな散歩道

阿豆佐味天神社 (立川市砂川町4丁目)

五日市街道に面している阿豆佐味天神社の鳥居 本殿

本殿に施された精巧な彫刻 立川駅北口からバス、「砂川四番」で下車。少し歩くと、五日市街道沿いに大きな「阿豆佐味天(あずさみてん)神社」の看板と鳥居が見えてくる。
  阿豆佐味天神社は、1629年(寛永6年)に砂川の鎮守として創建された。広々とした境内は、イチョウをはじめとした木々が鮮やかに色づいており、風情ある景観が広がっている。当日は休日であったため、七五三に訪れる家族連れの姿も多い。着物を着た子どもたちも多く、昔ながらの光景に心も和んでくる。傍らから聞こえてくる琴の音色も心地よい。
  18世紀前半に建てられたと考えられる本殿は、立川市最古の建築物で、市の有形文化財に指定されている。銅板ぶきの屋根で、総けやき造りで豪華な造りとなっている。何といっても目を引くのは、正面軒下や上がり口に施されている竜や狛犬の彫刻だ。とても細やかで精巧な彫刻には、言葉を失ってしまうほどだ。

蚕影神社 「元気ですか、待っています」など飼い主の切実な願い事が書かれている絵馬

蚕影神社前のコマ猫  境内社のひとつ、本殿右手にある蚕影(こかげ)神社は「猫返し神社」としても有名だ。 かつて砂川地域では養蚕が盛んであり、蚕の天敵であるネズミを捕まえるということで、猫を守り神にしたそうだ。世界的ジャズピアニストである山下洋輔さんが、迷い猫となった愛猫の帰宅をこちらで願掛けをすると、翌日に帰ってきたというエピソードを披露したことがあり、それがきっかけで「猫返し神社」として広く知られるようになったという。
  近くにズラリと並ぶ絵馬には、「早く帰ってきてね」という愛猫への切なる思いが綴られてており、中には遠方からの参拝者の絵馬も見受けられた。何ともいたたまれなくなり、傍らにたたずむ石像「ただいま猫」を撫で、猫たちの無事の帰宅を祈願した。

★元旦だるま市

午前0時から、参道にだるまの朝市が出る。

(2014年12月掲載)  地図


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ